ISIS後の空白にコンテナ式交番で対処

モスルはISISから解放されたけれど・・・
container Police 3.jpgcontainer Police.jpg7日付米空軍協会web記事によれば、対ISIS多国籍部隊の幹部が、ISISのプレゼンスがなくなったイラク内「真空地帯」の治安維持のためコンテナ式「Police station:交番」100個をイラク全土にこの夏配備し、将来は国境監視・警備にも同コンテナを活用する計画だと明らかにしました
対ISIS作戦(Operation Inherent Resolve)で多国籍部隊のパートナー育成部長であるカナダ軍のD.J. Anderson准将は、最初のコンテナ式交番が8日か9日にも到着する予定だと語っています。
日本が発明した「Police station:交番」システムが、中東の安定に貢献するチャンスですが、事態は全く予断を許しません
ISISが消滅しても、戦国時代さながらに多数の組織が「アラブの春」以降に生じた力の空白を狙ってうごめいており、「振り出し」に戻っただけのイラクやシリアですから、こんな地道な取り組みが必要な世界です。
Anderson准将によれば
container Police 2.jpg治安機関のインフラが破壊されたモスルのような地域で、イラク軍や治安部隊は活動拠点がない困難に直面しているが、米国率いる多国籍部隊は、コンテナ式の箱のような「Police station:交番」でこの事態に対応しようとしている
●多国籍部隊やイラク関係者は、空輸も地上輸送も可能で、必要装備品が収納されたコンテナ式交番を活用し、直ちに目に見える警察プレゼンスを確保したい考えだ
●「Police station:交番」と識別しやすい塗装等が施されたコンテナの中には、家具やパソコン、検問設置用具などが収納されており、2台のランクル車両とセットで、とりあえず警察プレゼンスを誇示できるように設計されている
この夏に100個の同コンテナ交番を設置する計画で、その後は同コンテナを応用し、「国境警備隊用のボックス拠点」としてイラク国境に配備する計画が検討されている
NHK-IS.jpgイラク警察は、イラク陸軍からの増強要員も活用し、イラク国内の警察体制の再構築に取り組んでいるが、多国籍部隊は地域に安定を提供するため、引き続き支援や助言を行っていく
同准将は「警察官の存在ほど通常状態を示すものはない」と同コンテナ式交番の意義を強調している
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元々ISISは、「アラブの春」を発端として中東諸国の支配体制が揺らぎ、シリアのアサド政権に対する反政府運動の「一つの武装勢力」として活動を始め、その支配や影響地域をイラクだけでなく世界に広げた組織です。
シリア反政府運動の「他の複数の武装勢力」は、とりあえず対ISISで活動の方向を一つにしていましたが、ISISが滅びた後は、反アサド政権の立場は共通ながら、それそれの武装勢力の利益追求を求め何を始めるか全く読めません。
NHK-IS2.jpg既にISISが「国家」と称していた地域では、さまざまな武装勢力が入り乱れているほか、利害関係を有する隣国など(トルコやイランやロシア)などの正規軍も含めて複雑な構図となっています。
ISISを壊滅できたとしても、シリア・アサド政権側と反アサドを掲げる武装勢力などによる戦闘が続く見通しで、平和が訪れる見通しは全く立っていません。
ISISとの戦い様々
「比南部のIS戦を米軍支援」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-12
「B-2によるリビアIS爆撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-02
「IS無人機で初の死亡者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「米空軍は外国軍訓練を重視せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-29
「ISが化学兵器で米軍を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-23
「対ISサイバー戦は大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23

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