18日は米カナダ貿易戦争の開戦日か!?
18日、ボーイング社が米商務省に対し、カナダの航空機メーカーによる旅客機の米国売り込みが不当ダンピングだと訴えたことに対し、カナダ外相がボーイング製FA-18購入計画(18機)の見直しを示唆して激しく抗議しました
同日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、トランプ政権誕生以来、諸外国の間で懸念が広まっている貿易摩擦が、カナダと米国の間で本格化した開戦記念日として記憶されるかもしれません
日本も当然例外ではなく、既に自動車や鉄鋼分野でジャブの応酬が始まっていますが、決して「対岸の火事」ではなく、「他山の石」のすべき点があるのでは・・との思いも秘めつつ、とりあえず現状をご紹介します
19日付Defense-News記事によれば
●カナダの航空機メーカーBombardier社は、新型中型旅客機「C Series」の米国輸出に取り組んでいたが、カナダ政府は同社の株式を取得することで約1100億円を投資しており、最近も追加で約270億円の融資を行っている。
●そんなカナダ政府の支援もあり、同社は2016年にデルタ航空から「C Series」75機の受注を獲得した。
●このようなBombardier社の売り込みに反発したボーイング社は、18日米商務省と米貿易評議会のヒアリングの場で、カナダ政府からBombardier社への補助金人について調査し、援助を受け国際市場で有利な立場を得ている「C Series」に対し、課徴関税を課すよう訴えた
●ボーイングは、種々の支援を合わせると約3300億円の支援金がカナダ政府からBombardier社に提供され、「C Series」が「他社から顧客を奪い取る価格:predatory pricing」設定になっていると主張し、米商務省はダンピング及び課徴関税調査の開始を決定した
●このようなボーイング社の訴えを受け、カナダのChrystia Freeland 外相は18日、カナダ政府が米国やボーイング社とFA-18戦闘機18機を当面購入し、さらに追加で購入する計画について協議を開始するとした昨年の発表見直しに言及し、「カナダはボーイング関連の軍事調達の見直しを行っている」と警告した
●同外相は、ボーイングの主張は明らかにBombardier旅客機の米国市場進出を狙い撃ちしたものと語り、米商務省のダンピング認定に向けた調査決定を強く非難した
●なお18日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、米カナダ間の高まる貿易摩擦を象徴する日となった
●また、Bombardier社のライバルとなる「Embraer社」を持つブラジルも、WTOに対し、カナダ政府からBombardier社への補助金問題を問題提起している
//////////////////////////////////////////////////////////////
カナダ政府からBombardier社への補助金がかなり「グレー」が感じですが、このケースの細部事情はともかく、本件ではカナダ側がしっかり国として対処している姿勢を学びたいと思います。
翻って日本が「他山の石」として「強引に」学ぶとすれば、トランプ政権にねつ造される新たな「日米貿易摩擦」の落としどころとして、国防装備品を米国から無理やり買う(買わされる)ことを、なんとしても回避すべきということです。
中国や北朝鮮の軍事的脅威は明らかですが、それを理由に、誤ったシビリアンコントロールにより、自衛隊の前線部隊が望まない高価な装備品を押し付けられ、反動で必要な装備や施策を断念させられては本末転倒です。
オスプレイしかり、グローバルホークしかり・・・F-35の追加も臭うし、BMD装備も必要ですが、THAADやイージスアショアもねぇ・・・。必要と言われれば必要ですが・・・ため息が出ますねぇ・・
F-35押し売り懸念:米空軍F-15強制退役か
「ACC司令官:F-15退役やむなし!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23