米ハイテク技術企業に中国政府系投資資金が

china-J21-J31.jpg3月24日付Defense-NewsがNYT紙記事(22日付)を引用しつつ、中国の政府系投資会社がリスクを恐れない姿勢で米国のベンチャー企業に資金を投入し、その額が急増しており、軍事技術を扱う企業もその中に多く含まれていることから、国防省やトランプ政権が技術流失の可能性に警戒感を強めていると報じています
この報道のきっかけは、カーター前国防長官が要請していた外国資金の国内ハイテク企業への投資状況を調査した報告書原案が、20日の週に国防省やトランプ政権関係者に供覧されたことにあり、NYT紙が匿名の関係者に聞き取りをして報じています
国防省報道官は「国防省内部の作業中の文書に関しコメントはしない」との姿勢で正確なところは不明ですが、中国の資金が有望なベンチャー企業に相当流れ込み、その額が急増している様子がうかがえますので、断片的ながらご紹介します
24日付Defense-News記事によれば
parade.jpg中国政府と関係の強い中国投資会社が、軍事分野と関係の深い最先端技術を扱う米国ベンチャー企業(American startups)への投資を増加させている
米国政府も重要技術の流出を防止する監督を行っているが、十分には機能しておらず、担当するCFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States)の権限拡大等をトランプ政権も考え始めているようである
●中国資金が流入しているハイテクベンチャー企業には、例えば、宇宙ロケットエンジン企業、自立型海軍艦艇のセンサー企業、戦闘機操縦席への使用が想定される柔軟なスクリーンへの印刷技術企業、人工知能企業等々が含まれている
●投資をする中国系投資会社は、契約を通じて投資先の知的財産や開発プロセスにアクセス可能になるだろうし、企業の設備や人材に関するデータも入手する可能性がある
●民間の調査会社CB Insightsによれば、2015年に中国系投資会社は約1兆円を米ベンチャー企業に投資しており、前年比で4倍の急増を見せている。しかし契約や取引の細部を公開する義務はなく、よくわからない部分が多い
●政府のCFIUSは小規模な投資には目が届かず、チェックが十分できないが、それでも2012年から14年の3年間に確認したケースは358件で、前の3年間の318件から増加しており、その中の中国関係投資は39件から68件に増加し、国別で最も多い
parade2.jpgボストン所在の人工知能ベンチャー企業の「Neurala」は典型的な例である。同社の技術に興味を持った当時のJames空軍長官が来訪し、同社は市販の無人機に開発したソフトを投入し、その技術つをデモした
空軍長官らはその技術の高さに感嘆していたが、それ以降何ら反応はないと同社CEOは嘆き、最終的に中国国営Everbright Group傘下の「Haiyin Capital」から投資を得ることなって現在に至っている。それでも同社CEOは、重要な技術やプログラムが流出しないように細心の注意を払っていると強調している。
最初に報じた22日付NYT紙は
●中国からの投資の多くは問題あるものではなく、純粋に投資益を求めるものや、中国の大気汚染を改善する技術や交通問題を解決する技術などなどへの投資であり、米国の監視強化の動きを批判する者もいる
しかし中国が最近公開したJ-31戦闘機が米国製F-35戦闘機とそっくりであるように、先進軍事技術が米国から中国に流出し、中国が資金を投入することなく技術を手にしているとの批判は絶えない
共産党中央軍事委員会3.jpg●米軍関係者もベンチャー投資の難しさを認めており、「レイセオン社に1兆円は可能でも、ベンチャーには1億円でも容易ではない」と語っている
●また、一度中国資本が入った「Neurala」のような企業に、米国が後から投資することの判断は難しい
カーター前長官はベンチャー技術の発掘を目的として、先端技術発掘のための出張事務所DIU-x(Defense Innovation Unit Experimental)を、先端ベンチャー企業が集まるシリコンバレーやボストンやテキサスに設置したところである
●中国側の米国ベンチャーへの投資意欲は強く、シリコンバレーの銀行「Silicon Valley Bank」の社長は、過去半年間だけで3つの中国政府系企業から、同地域で新技術獲得や新企業投資・買収を行うエージェントにならないかと誘いを受けたと語っている
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
DIU-Xや長官直属で新技術を導入するSCOなどの組織は、トランプ大統領とマティス長官の下でも機能しているのでしょうか???
中国資金の動向と同じように気になります
米国製にそっくりな中国ステルス戦闘機
「J-20改良型が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「改良版J-31初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27 
「改良版J-20エアショーで飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
カーター前長官の技術革新促進
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「SCOが存続をかけ動く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1

タイトルとURLをコピーしました