米空軍が電波式の無人機撃退システムを17億円で

ELTA drone counter2.jpg2月27日付各種報道によれば、米空軍がイスラエルの軍需産業ELTA社から携行可能(manpads)な無人機撃退システム(counter-unmanned aerial systems)21セットを約17億円で購入することで合意した模様です
21日に国防省が発表したところによれば、この「Man Portable Aerial Defense System kits」とも表現される装備は、イスラエル国内で製造され、米本土内で使用者への必要な訓練が今年7月末までに完了する形で納入されるようです
今後日本でも東京オリンピックに向け、この種の装備への関心が高まると予想されますので、また工事現場で無人機との衝突で初の負傷者が出たとの報道があったタイミングですので、ご紹介しておきます
27日付FlightGlobal電子版によれば
ELTA drone counter.jpg●イスラエルのIAI傘下のELTA社北米支社は、米空軍と同装備21セットについて、約17億円の経費固定契約を結ぶこととなった
昨年ELTA社は、小型無人機の発見・識別・飛行妨害を行う無人機防御システム完成を明らかにし、それが3次元レーダーと光電センサー、更に妨害技術から構成されていると説明していた
低高度低速の小型で発見されにくい無人機を探知するため、索敵半径5~10kmのEL/M-2026シリーズレーダーを使用し、光電センサーを目視識別に活用する装備となっている模様
ELTA製装備は、上記の発見&識別用装備と組み合わせて使用するが、妨害装置だけを独立して使用することも可能で、小型無人機を発進場所に帰投させる機能や、墜落させる機能を有している
27日付米空軍協会web記事によれば
昨年10月に、米軍はISISが使用する爆発物搭載無人機の脅威に直面していると明らかにし、その対処法を検討してきた
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
ELTA drone counter3.jpg●本件に関連し、米空軍の研究開発拠点があるハンスコム空軍基地の報道官は質問に対し、ELTA社との契約を同基地組織が担当し、同時に関連の複数のシステムや技術の開発や試験を行っていると答えた
●同報道官はまた、米空軍は現在のところ、携帯型から地上装甲車両搭載型の「non-kinetic」な無人機対処システムに焦点を当て検討しているが、同時に小型無人機を「kinetic」に撃破するオプションも検討していると語った
●今回購入に合意したELTA社の製品について細部への言及は避けたが、米空軍は来年度末までには小型無人機対処の全体計画をまとめる予定だと明らかにした
モスルで米軍提供の無人機妨害装備が活躍
(3月8日付Defense-Tech)イラク軍の対テロ部隊司令官のAbdul Ghani al-Assadi中将は、「米国から提供された対無人機装備は素晴らしい。ISISは1機も無人機を送り込めなくなった」と語った
●同中将は、ISは小型爆弾や手りゅう弾を無人機に搭載して攻撃しようとしているが、米軍提供の妨害機材で効果的に対処できているとも語った
●先月から始まったモスル奪還作戦では、作戦初日に72機のIS無人機を確認し、2日目には52機をカウントしているが、これまでの約1週間で1機たりとも侵入を許していないと語った
●同作戦の多国籍軍報道官は、イラク軍に提供した装備は「ジャマーだ」としか説明しなかったが、イラク内で確認されているの新装備は「DroneDefender,」である
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ご紹介したELTA社の製品は、製品名も不明で、写真や性能等の関連情報も見当たりません
2015年に初期的な形が仕上がったとの関連報道がありましたが、上記「EL/M-2026シリーズレーダー」を活用との記述があるだけで、写真も当該レーダーの一部が確認できる程度です
DroneDefender.jpg妨害電波発射装置は、人間が携行できる規模ですから、イメージ的には左の写真(DroneDefender→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30)のようなモノだと推測しますが、ここまで全体像を伏せるのは独自の技術があるからでしょうか?
21セットで17億円ですから、単純計算で1セットが約8100万円です。有効射程や使用電力等が気になりますが、とりあえず、ご参考まで紹介しておきます
もしかしたら、写真のもELTA製かも・・・
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
米軍での無人機の「群れ」研究
「103機の群れ試験に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「国防長官が技術飛躍有りと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04
「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18
「国防省戦略能力室の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10

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