18日付Defense-Newsが「人類は将来のサイバー空間を整形する能力を持つ」との記事を掲載し、記事のタイトルとは異なり、米国防省の研究機関が生み出したものの現在はその手を離れたインターネット世界が、民間商業活動で安全性を確保できないままの状態で増殖し続ける様子に危機感を示しています
ネット世界を生み出したDARPAの担当部長がお手上げ状態を示唆し、国家情報局長DNIも米ソが異なるシステム上で活動していた冷戦当時を懐かしみ、数百年の期間を経て構築された「海洋法」のような「規範」が誕生するまで耐えられるか・・・と言ったため息が聞こえてくる状態です
あまり救いのない記事ですが、サイバー世界の現状を感じることが出来る記事ですので、つまみ食いでご紹介します。長期間、サイバーの話題を扱っていないこともあり・・・
18日付Defense-News記事によれば
●現代では、戦いのドメインは陸海空と宇宙とサイバーだと言われているが、サイバードメインのみが人類が生み出した空間である。従って将来その空間を整形する可能性があるとも言える。
●1969年にインターネットの起源である「ARPANET」を4台のコンピュータ連接で実現した国防省高等研究計画庁DARPAだが、現在の情報分野責任者のKerry Long氏は16日、サイバー関連会議で「変えることが出来るはずだ」と願望を込めて語った
●しかしLong氏は、今後10年で商業クラウドへの依存度合いが増し、サイバー空間はますます「霧が濃くなる」と表現し、皆がAmazonを利用することが増えるだけ中国もロシアも皆が同じサイバーインフラに依存する傾向を強めていくと語った
●そして情報機関はこの傾向に抵抗してきたが、独自の世界を作ってはおらず、商業ベースに巻き込まれているのが現実。Long氏は現在のサイバー空間の状況をDARPAの責任ではないと語ったが、次世代のネット社会のマスクラウドで防御態勢が弱ければDARPAの責任だと語り、研究に投資していると述べた。
●国家情報長官DNI(Director of National Intelligence)のJames Clapper氏は17日に下院の情報委員会で、基本的にインターネット世界は不安全で、ネットに依存するほど防御施策を採る必要がある世界になっていると述べ、ハッカーやテロリストと敵国と同じ空間を利用している点を指摘した
●そしてClapper氏は冷戦当時を懐かしみ、米ソがそれぞれ独立した相互連接がない通信ネットワークを使用していた時代が良かったと思うことがあるとも語った
●Work国防副長官も同委員会で、現在使用している米軍の兵器システムは全て、サイバー脅威が意識されていなかった時代に設計されたもので、今になってサイバー攻撃への脆弱性を確認し、優先順位を付けて対処することが国防省の大きな課題となっていると証言している
海洋法の規範形成には数百年が
●Clapper国家情報長官はまた、法的、政策的難しさも指摘し、サイバー空間での抑止が大きな課題だと語った。サイバー攻撃を受けた際の対応として、サイバー空間内で反応するのか、他ドメインでも反撃するのか等々に関連していると説明した
●そして匿名の世界であるサイバー空間での規範形成について、海洋法の形成に数百年を要した歴史をサイバー空間で繰り返すだけの時間的余裕はないと同長官は訴えた
●また非国家アクターの行動を規制することの難しさに言及し、中国とでも2015年9月のサイバー合意で知的財産保護や企業への攻撃防止に効果があるが、非国家対象の場合は難しさが増していると語った
●更にサイバー空間の相互依存性が増す中、基本的に同じサイバーインフラのクラウドに依存していることから、例えばウォールストリートでのトラブルが中国国防省に影響を与えることもあり得ると考えなければならないともDNI長官は表現した
●情報機関が他国の情報機関への侵入を試みたとして、今はその行為が証券取引所や社会インフラに影響を与えることをあまり懸念していないかもしれないが、同じネットクラウドに依存して連接の複雑性が増す傾向にある中、今後はどこに影響が出るか分からない点に配慮が必要になる
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それにしても・・・サイバー関連記事が9月27日以来というのも、反省材料です。本分野への「リテラシー」が完全に不足しているからですが・・・
目新しい情報が含まれるわけではありませんが、米国自らが生み出したサイバー空間への対応に、最も苦慮しているのが米国との光景が皮肉です。
「お手並み拝見」と斜に構えて見ていられる状況ではないのが日本の様な先進国で、ある意味、米国との連携無くして対処が事実上不可能なドメインとも言えます。
トランプ政権との関係に置いて、核抑止や通常戦力配備と共に、サイバー空間での協力にも関心を持っていたいものです
最近?のサイバー関連記事
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