よく分からない米国とトルコ関係
10月28日、トルコの首相や国防相らで構成するトルコ軍装備品調達を審議する会議で、F-35の追加購入が決定した模様です。
追加と言っても、トータルで116機購入予定とは言うものの、今回の追加購入の規模は明らかになっていません
トルコはF-35共同開発国で、F-4戦闘機とF-16戦闘機の後継機種としてF-35を購入決定しましたが、2011年3月、米国がF-35の「source codes」提供を拒否したためF-35の発注を中断しており、この交渉は継続していると考えられている
また2013年1月にも、「トルコは独りぼっちになりたくない。(他国がF-35調達に消極的になる様子を見て)心理的な要因が作用した」と高官が語り、F-35のコストや技術的問題を理由に、予定していた2機のF-35初度調達の再度延期を決定した経緯があります。
そしてついに2014年5月6日、やっとの事で初度発注を政府決定しましたが、その際の購入機数は僅か「2機」。
2018年に初号機を受領すること以外、調達予定の116機が何時までに必要なのか承知していませんが、まだまだ紆余曲折がありそうですし、現在の米国とトルコの関係を考えると、本当に「116機」購入するのか極めて不透明だと言わざるを得ません
10月31日付Defense-News記事によれば
●10月28日、トルコ首相、国防相、軍参謀総長らで構成するトルコ軍装備品調達を審議する会議(トルコ名SSIK:Defense Industry Executive Committee)で、F-35の追加購入が決定された
●トルコは、建国100周年の2023年までに、F-35と新規開発する国産戦闘機の2機種体制を構築したい意向を持っている。
●同会議では、F-35追加購入も含めて12個の議題が審議された。
●例えば、既に国際的な機種選定を経てガルフストリームG550を2機調達することになっている空中指揮統制機の件も話し合われ、維持整備をトルコ航空が担当する方向が確認された
●またトルコ海軍関係では、25機保有するSH-60B Seahawkヘリ改良版である「S-70B」の近代化に関する選定作業についても議論された
●その他には、海洋監視システム(Integrated Maritime Surveillance System)、サイバー防御センター(cybersecurity and defense center)、電子戦指揮統制、電子戦統合データバンク、次世代軽装甲車両等々について議論された
●この会議が開催されたのは7月15日のクーデター未遂事案以降初めてで、関係政府高官は「ショックの時期は過ぎ、物事が動き始めた」、「国産の次期戦闘機については次回の同会議で議論されるだろう」と語った
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この会議で議論されたテーマの装備品からすると、トルコと米国はそう簡単に関係を断ち切ることは難しそうです。
トルコ大統領がプーチンや中国首脳と兵器について協議したとしても、全てではないにしろ、多くは米国製に頼らざるを得ないでしょう。
しかし、現在の諸情勢からすれば、トルコのF-35「116機購入」も極めて「やわやわ」な数字と感じざるを得ません。
「F-35死のスパイラル」に向け、英国やイタリアやノルウェー等々と並び、トルコも大きな貢献者になる可能性大でしょう
トルコとF-35
「トルコが2機購入を発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09-1
「再びF-35初度発注へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-23