米軍空中給油機の後継プランを見直しへ

Everhart.jpg9月20日、米空軍協会総会(ASC16)で米空軍輸送コマンド司令官Carlton Everhart大将が空中給油機の将来態勢について言及し、これまで想定していた老朽化が著しい「KC-135とKC-10」を、「KC-X(KC-46)とKC-YとKC-Z」の3機種に置き換える計画を変更し、「KC-Y」をスキップする方向で検討を始めると語りました
KC-Yをスキップ(省略)するとは、新規開発「KC-Y」の代わりに、KC-46Aの改良版を「穴埋め」として購入することをイメージして想定されており、KC-46に先進通信中継システムや自己防御用レーザー兵器の搭載する改修がアイディアにある模様です
そして2030年~35年から導入開始を想定する新規開発「KC-Z」は、第5世代機とともにA2ADエリアに侵入可能なより小型でステルス性を備えるタイプをイメージして軍需産業関係者と話を始めていると語りました
背景には、他にも重要装備の調達計画が目白押しで、2030年~35年頃まで待たないと予算の目途が立たない現実もあり、同司令官も本音を示唆しています。
「KC-Z」に関する同司令官の発言
Everhart4.jpg●Everhart司令官は、敵の防空網が発展を続ける中、米空軍はステルス戦闘機と行動を共にできる突破型の空中給油機を必要とするだろうと語った
●そして、今年中には(KC-Zの)公式検討を開始して方針を定めると語り、「公式検討がまとまったなら、具体的計画に進み、予算面で可能性がありそうな2030年~35年頃の調達を目指す」と語った
現在の空中給油機は大型民間旅客機をベースにしたタイプで、敵の活動領域から離れたエリアで味方小型機に給油しているが、将来このような方法は効果的・効率的ではない
●また給油機はその登場以来、同じ方法でブームや受け口を使用して給油を行っているが、我々は自動化(autonomy)を追求している。
●また米空軍研究所とも協議を進め、特に軍需産業とは生まれたてから既存の技術情報を収集するために協力してもらっており、10月には企業を集めたイベントを計画している
Everhart3.jpg5世代戦闘機に敵空域まで追随するためステルス性を求めており、企業にはレーダー反射を低下させ小さく見せる「cloaking device」の開発を求めている
●低視認性を目指し、機体形状も「flying wing」や「blended wing」を導入したいと検討しているが、これは検討の氷山の一角に過ぎず、様々な技術を広く検討している
米空軍はKC-46Aを179機購入することにしているが、「KC-Z」が何機必要かは、どのような有事所要があるか見極める必要がある。敵の動向やどの程度の能力が実現できるかを踏まえ、KC-46との比率も検討する必要がある
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スキップする事になりそうな「KC-Y」が、本来どのような機体を狙っていたのか気になりますが、KC-46Aに付加したい装備が通信&中継能力や自己防御レーザーとの話は腑に落ちる話です
Everhart2.jpg米海軍初の空母艦載無人機「MQ-25A Stingray」が空中給油機となり、ステルス性は後回しにしつつ2020年代前半に運用開始を目指す方向にあることを考えれば、2030年以降に実現する新型空中給油機はチョット遅いな・・・と感じます。しかしお金がないから仕方がないか・・・
戦闘機や爆撃機など攻撃アセットがステルスを追求し、次に空中給油機が続き・・・その後は早期警戒管制機とか救難機とかも続くのでしょうか・・・。
米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15
「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
海軍の空母艦載無人機もゴタゴタ
「名称決定MQ-25A Stingray」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

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