より現実的で低価格なF-15能力向上案

日本もこの近代化改修や追加購入でいいんじゃない?
F-15 upgrades4.jpg14日、F-15製造企業を引き継いでいるボーイング社が、7年前に提案したF-15のステルス性強化を含む大規模能力向上策「Silent Eagle構想」を引っ込め、より現実的で「modest」な改修案を明らかにしました。
「兵器搭載量増加」「航続距離増加」「5世代機との連携」「電子戦能力強化」など、米空軍が最近打ち出した「Air Superiority 2030」に基づく将来制空アセット像を支える方向性で、日本を支配する旧態然とした戦闘機命派を置き去りにする動きが本格化しています
米空軍の直面する予算制約や、F-15を2040年代まで活用する米空軍構想に配慮した企業の独自提案ですが、米軍以外にF-15を運用している国は日本、韓国、シンガポール、イスラエルで、現在もサウジとカタール用に2019年まで生産ラインがオープンしている状況ですから、いろいろ海外にもインパクトありそうです
15日付米空軍協会web記事によれば
F-15 upgrades.jpg●セントルイスのボーイング社で同社が主催した記者説明会が実施され、米空軍の予算状況に配慮し、7年前に打ち出したF-15を「F-22やF-35のより良いパートナーにするSilent Eagle構想」ではなく、より現実的な提案をまとめたと同社幹部が語った
●同幹部は、変更案でもF-15Cを「2030~40年代でも有効な機体」に改修可能で、既に米空軍と契約が始まっているF-15の延命措置改修(2030~40年代までの使用を想定)との同タイミングでの実施を空軍に提案していると説明した。
●改修項目には、レーダーや兵器搭載量向上が含まれ、航続距離増加やIRST(赤外線追尾装置)搭載、更には複数の電子戦能力強化策や第5世代機との対話能力付加にも力を入れている。
空対空兵器の搭載量を「quad racks」により2倍以上(22発案も)にし、F-15Eに採用されているコンフォーマル燃料タンク(CFT)付加で航続距離を延伸させる提案となっている
●同社幹部はまた、CFTは翼下への兵器搭載量を増加させ、F-22が搭載していないIRSTはF-15ステルス性向上に寄与するとアピールした。なおCFTは州空軍に既に11セット改修を納入し、追加で200セットの可能性がある
F-15 upgrades2.jpg●また従来の「Silent Eagle構想」もいつでも提供できる状態にあるとしながらも、別の幹部は「適度の規模の能力向上案も準備できている」とも説明した
●同機を2040年代まで延命させる機体構造部分の改修では、翼や胴体、その他負荷のかかる部材を新品に交換することなどを米空軍と協議が行われている
●なお、米軍以外にF-15を運用している国は日本、韓国、シンガポール、イスラエルで、また現在もサウジとカタール用に2019年まで生産ラインがオープンしている
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日本でもどう?・・とお話しすると、米空軍機とは形態が違うとか、米国は肝心な部分を提供してくれないとか、装備が提供されても「ブラックボックスだ」とか、ぐだぐだ細かいことを指摘する人がいますが、これらは「F-15延命に反対」する「重箱の隅」主張であって、本気で米国と最初から交渉すればそれなりに道は開けます
F-15 upgrades3.jpg「F-15延命」や「F-15追加購入」が完全な策ではないにしろ、国産戦闘機の夢だけを追い続けると、「F-15延命」以上の技術的&政治的&予算的リスクを大規模に背負い込むことになることも肝に銘じる必要があるでしょう。
そもそも、日本を支配する旧態然とした戦闘機命派は、世界の軍事情勢をほとんど日本の新聞記事斜め読み程度でしか把握していませんから・・・。まぁ、戦闘機の機数維持のため、余計な情報が耳に入らないような形に組織を育て仕向けてきたのでしょうが
「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
F-15の延命や改修検討
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05
「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1
米空軍の将来制空アセット検討
Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

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