F-2後継選定を巡りタイフーンに色気で米国を牽制のつもりか
「心神」ご披露と並ぶ悲しくむなしい戦闘機命派のあがきか
16日、航空自衛隊と在京英国大使館が、戦闘機による日英共同訓練を三沢基地を中心に10月中旬から11月上旬まで実施すると発表しました。「本訓練は、航空自衛隊が国内を拠点に米国以外の国と実施する初の共同訓練」で、「EX GUARDIAN NORTH 16:ガーディアンノース16」との名称で実施されるそうです
この訓練は、(英国がEU離脱を決定する以前の)今年1月の日英外務・防衛閣僚会合(2+2)において合意されたもので、訓練にあわせ英国からファロン国防相らが10月末ごろ来日し、日本側と北東アジア情勢やテロ対策などを巡って意見交換する予定とか
メイ首相が就任後、対中国姿勢を改めつつあるとは言うものの、つい最近も安倍首相が英国のEU離脱で日本企業千社以上が英国を脱出する可能性を示唆して英国&EUを牽制しており、時期的なセンスのなさが際だっています。
そもそも、往年の「吉田茂」ならニヤリとしたかもしれませんが、経済右肩下がりで東アジアの安全保障などに実質関係ない地球の反対側の国と、いまごろ時代錯誤の空中戦訓練を行う必要性などあるのでしょうか?
キャメロン政権の仕業
「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1
ひねくれたまんぐーすが、英国側が「実戦的な訓練を通じ、相互運用性の向上を図り」、「深化する日英の防衛協力体制の象徴的なイベント」と紹介する本演習の狙いをあれこれ考えます。
まず「GUARDIAN NORTH 16」の概要
●参加部隊と規模
日本:航空総隊の北部航空方面隊
F-15戦闘機とF-2戦闘機それぞれ約4機
英国:第2飛行隊など150~200名
タイフーン戦闘機4機、空中給油機(A330型MRTT)2機、C-17輸送機3機
●訓練内容(東京新聞によれば)
空中戦、補給支援、指揮統制などを共同で訓練
東京新聞の難癖(真偽は知りません)
●日本政府はこれまで「(日米以外の)第三国の人の訓練をわが国において行うことは許されない」(1971年、福田赳夫外相の国会答弁)との姿勢を示しており、過去の政府答弁との整合性が問われることになる。
●英国軍が国内で訓練を行う場合、法的根拠が問題となるが、その一つとして想定されるのが、朝鮮戦争休戦協定が発効した後の五四年、日本が国連軍と締結した国連軍地位協定だ月。しかし使用できる基地・施設はキャンプ座間や横須賀海軍基地、横田飛行場など7カ所に指定されており、今回使用される三沢基地は含まれない
まんぐーすの考える本訓練の背景
●「世界を俯瞰する外交」を推進する安倍総理の意向を受け、防衛省が弾として出してきた一つが技術開発や共同生産パートナーとして有望な英国。兵器の共同開発だけでは目立つので、現場部隊レベルのネタを探したところ、移動も比較的安価で容易な航空戦力分野が浮き上がったのだろう
●空自としては、最近旗色の悪い戦闘機の話題作りとして、また取り組みやすく英語の勉強にもなる古式騒然とした空中戦演習を選択したのだろう。しかし・・・以下のような戦闘機命派の「こざかしい」「見え見えの」「ほほえましい」「3倍返しされそうな」浅知恵もあるような気がします
F-2後継選定における米国牽制
●2018年春頃までを目途に進むF-2戦闘機の後継機選定に向け、防衛省は情報提供要求RFIを発出済みで、ボーイングとロッキードがともに参画の意向を表明(INSジェーンズ情報)している
●F-2開発の過程で、純国産のはずが直前に政治的圧力で米国との共同開発になり、「共同」も聞こえの良い「日本独自技術の強奪作戦」であった事を骨身に刻んでいる団塊の世代や、その後の米国装備導入で「部品枯渇」や「意味不明の部品高騰」に苦しめられている現役世代は、米国の産軍複合体に根強い不信感を持っている
●僅かなりとも抵抗したい日本は、今年4月22日の「心神」初飛行を大々的に報道宣伝し、関連する「F-3国産開発決定報道」などにより、国産を追求していると折に触れて海外にも発信中
●一方でタイフーンやグリペン戦闘機は、米国製以外の貴重なF-2後継候補であり、日本がそれなりに注目していることを示すことで、米国政府と米国企業からの不当圧力を牽制する手段ともなり得る
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今年1月の日英外務・防衛閣僚会合(2+2)において合意したのだから、EU離脱云々以前の話だから、取りあえず米国と「血の同盟」を維持してる英国だから、今回は仕方ないでしょう。
でも、「脅威の変化」の最前線にあり、戦闘機の抑止力や有事の有効性が急降下している位置にある日本としては、資源配分の優先度を低下させるべき戦闘機の訓練を、英国と続けることにほとんど意味はないと思います
2の次、3の次のF-2後継機選定のために、余計な空中戦訓練など無駄です。人材や時間や予算の無駄使いだと思います。ましてや、英国などと訓練して喜んでいるようでは、戦闘機命派の悪評を増し、ますます組織がばらばらになりますよ・・・
もしかしたら、機種選定で敗者にしたA330MRTT空中給油機の方に興味があったりして・・・まぁ、F-35Bを沖縄に・・とか語って、認知症とか痴呆症とか疑われない事と併せ、十分に注意していただきたいと思います。
「韓国はA330に決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-01
戦闘機への投資を語る空自OB
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
いい加減にしろ戦闘機命派
「悲劇:F-35の主要問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の問題整理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
英国軍は崩壊寸前!?
「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1