6月22日、下院軍事委員会で米サイバーコマンド副司令官Kevin McLaughlin空軍中将が証言し、同コマンド初の実戦任務である対ISIL作戦は極めて貴重な経験となっており、同時に同コマンドの戦力編制が適切である事も証明してくれたと語りました
また意味深な表現ながら、サイバー戦能力が、敵のサイバー能力以外への作戦にも使用可能だと語っています。
更に同委員会では同日、国防省高官が、サイバーコマンドを戦略コマンド隷下から独立させ、他主要コマンドと同列に「格上げ」する件について、国防省は賛成の方向だと明らかにしました
サイバーコマンド副司令官は証言で
●サイバーコマンドが対ISIL作戦に従事した数ヶ月間で得たものは、本経験が無ければ学ぶのに数年必要な数々の教訓であり、その教訓から既に多くの改善を行っている
●我がコマンドは2~3年前に活動を開始したばかりで有り、これまでやって来た通り・・・と表現できるものは何も無い。実戦で学びなから改善を繰り返している
●同作戦はサイバーコマンドが戦闘コマンドを大規模にサポートする初めての機会であるが、国防省全体としての大きな学びは、サイバー戦能力は、敵のサイバー戦能力以外の分野にも使用可能である点である
●また同作戦への参加を通じ、サイバーコマンドの戦力が適切に準備教育されており、米戦略コマンドとの融合具合も優れていることが証明された
●6月10日現在で、サイバーコマンドには4684名で構成される完全運用態勢の46個サイバー部隊が存在し、59個部隊が初期運用態勢に達した段階にある。今回の対ISIL作戦は、多くのサイバー部隊にとって最初の実戦任務である
●戦力整備の目標は、6187名で構成される133個のサイバー部隊を完全運用態勢で保有することで有り、まだまだ若いこの組織を発展させるため挑戦は続く
●なお統合参謀本部のグローバル作戦次長は、国防省として最前線支援の鍵となるサイバー戦の対処速度を上げることに焦点を当て取り組んでいると証言した
米国防省webの関連記事
→http://www.defense.gov/News-Article-View/Article/809904/cyber-command-deputy-details-formation-of-cyber-mission-force
米本土防衛担当の次官補代理は同じ場で
●国防省の国土安全保障担当の次官補代理Thomas Atkin氏は、サイバーコマンドを戦略コマンド隷下から独立させ、他主要コマンドと同列に「格上げ」する件について国防長官以下で検討中だが、「手短に言えば賛成だ」と証言した
●なお、2017年度予算関連法案の審議に於いて、下院はサイバーコマンドの格上げ独立を求めているが、上院はマケイン軍事委員長が賛成にも関わらず、法案に具体的な記述は盛り込んでいない。本件に関する上下院の意見の相違を埋めるため、調整協議が行われる
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この種の作戦には非公開事項が多く、不明確な点が多いのですが、「敵のサイバー能力以外(adversaries’ non-cyber capabilities)への作戦にも使用可能」な事が国防省としての「学び」だとの表現はとっても気になります!!!
「6187名で構成される133個のサイバー部隊(mission force teams)」の編制や役割分担も気になります。そのうち、敵への抑止効果も狙って、OBやおたくライターが将来なルポ記事をアップしてくれることを期待致しましょう!!!
対ISILとサイバー戦
「対ISILでサイバー戦強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-01
「6月までに・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01-1
「対IS作戦強化の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-21
「ライス補佐官が対IS強調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-19
「次期米空軍トップは対ISで選定か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-14
米国防省「Cyber Strategy」特設webサイト
→http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0415_Cyber-Strategy