5月末、米空軍はJDAMを製造するボーイング社と、対ISIL作戦で使用頻度が高く消耗ペースが激しい精密誘導兵器の一つで、多様な航空機から使用可能なJDAMキットの購入契約を結んだと発表しました。
契約金額は長期計画で見積もられていた約2倍の約3500億円で、同誘導キットを36000セット購入する大型契約ですが、消費量に応じて柔軟な調達を可能にする「umbrella contract」との形態を取っているようです
本日の話題は、この契約発表直後に、ボーイングが発表した新型JDAMキットの解説映像で、翼やエンジン(発電装置?)も加わって、射程距離が3倍になるとの触れ込みです
契約に含まれているのか、どの程度開発が進んでいるのかよく分からないのですが、日本も保有するJDAMですのでとりあえずご紹介しておきます
ボーイング社公開の映像
3日付DODBuzz記事によれば
●JDAMキットは、ただの自由投下爆弾を精密誘導爆弾に転換するキットで、GPD誘導装置と落下位置を制御するフィンからなっている。またレーザー誘導センサーも装備し、移動目標に対する追随能力も備えている
●JDAMを取り付けた爆弾は多様な航空機から使用可能で、F-16ややF-15EやF-22、B-2やB-52、無人機MQ-9等々、多様なプラットフォームから使用されている
●今回ボーイング社が公開した映像には、同社が新たなJDAMキットを開発(製造)中で、データリンク、マルチモードセンサー、エンジン(engine to self-power:推進用か電源用か不明)を備えた新キットにより、JDAMの射程を3倍の約45nmに延伸できるとの解説が付いている
●射程の延伸だけでなく、天候や雲の状況に関わらず、JDAMが使用しやすくなるとも解説している
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対中国等を考えれば、射程の延長より、全天候性能の改善が大きいのかも知れません。
特にモンスーンの影響を受け、中東やアフリカなどより、天候の変化が激し雨や雲の影響を受けやすい西太平洋地域に於いては
敵防空アセットの射程を考えれば、15nmが45nmに伸びたことの意義がどれほどかは判りませんが、あまりお金をかけず、判りやすい性能向上が図れることは素晴らしいことです
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