公式:F-35の最終主要試験は2018年に遅れ

KendallDOD.jpgBogdan6.jpg5月24日、米国防省のケンドール次官(技術兵站調達担当)とBogdanF-35計画室長が記者団に対し当初2017年9月までに開始を予定していた完成版ソフト「3F」搭載F-35の運用試験評価が、2018年にずれ込むと認めました。
この試験(IOT&E:initial operational test and evaluation)は、1個飛行隊規模23機の完成版F-35を対象として行う本格試験で、本格大量生産前の最後の重要試験です
本「IOT&E」に関しては、4月26日に上院軍事委員会で米国防省のMichael Gilmore試験評価部長が、早くても半年、普通に考えれば1年間は遅れると考えるべきと「内部告発」しており、F-35関連の米国防省主要幹部が、後追いで渋々認める形になりました
Gilmore.jpgただしGilmore部長が遅れを招く主要問題として7つの課題を挙げたのに対し、Bogdan計画室長は単に完成版F-35を23機準備するのに少し時間がかかるだけだと、時間が解決する遅れに過ぎないと説明しています
なおGilmore部長が指摘した7つの問題は、ソフトの不安定性、電子戦の能力不足(shortfalls)、ミサイル警報装置(AESAレーダーでの受信問題)、空中給油に必要な時間(他機より2~3倍必要)、非公開システム不具合、全ての形態での機関砲問題、そして自動兵站情報システムALISの不具合の7つでした。
24日付Defense-News記事によれば
●24日の会議でケンドール次官は、「F-35の作戦運用試験のスケジュールを精査した結果、IOT&Eは2018年にずれ込むだろうとの認識に至った」、「2017年半ばが目標時期だったが、これを実現出来ないことが明らかになった」と語った
●同会議後に同次官とF-35計画室長は揃って記者団の質問に答え、計画室長は、当初計画では2017年の8月か9月開始だったが、2018年の1月か2月にずれ込むだろうと説明した
F-35 luke AFB.jpg●更にBogdan計画室長(空軍中将)は、IOT&Eに必要な23機を、完全なハードと3Fソフト搭載で準備することがネックになっており、「より多くの時間が必要なのだ」「以前のバージョンの機体を完全版に改修するだけなのだが」と語った
●同中将はまた、頻繁にスタートアップが必要となることが知られ問題視されているソフトはこの遅れとは関係ないと述べたが、右ソフト対策で予備時間は既に使い切っているとの現場関係者の証言もある
完全版ソフト「3F」の提供が4ヶ月遅れ、2017年秋後半になることが既に明らかになっている
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最近は「重箱の隅つつき」の様なF-35情報紹介で恐縮ですが、何とか海外売り込み機数を増やそう、海外契約機数の減少を食い止めようとの姿勢があまりに露骨で、「日米同盟の負の遺産」として記録にとどめる必要から「チマチマ紹介」を試みています
ケンドール次官もBogdan中将も立派な人物だけに、ことさら残念感が募りますし、来年1月の新政権でこれ以上の人材が現れるとは考えにくく、ますます暗い気分になってしまいます。
だれかトランプ候補に、「F-35は好きですか?」と聞いてくれないかなぁ・・・
完全版ソフトのF-35試験は1年遅れ
米国防省のGilmore試験評価部長が暴露
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27-1

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