7日付defense-Newsは、米国防省の研究開発機関DARPAが、約2年間に亘る潜水艦探知追尾用の無人艦艇の試験を本格的に開始すると報じています。
150トン級で全長が約40mの「Sea Hunter」との愛称をもつACTUV(発音はactive:Anti-Submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vessel)で、構想では3ヶ月間連続で海上任務に従事できるようです
装備化が前提のプロトタイプではありませんが、数ある米海軍の水上や水中の無人装備の中で、かなり大型で本格的な装備ですのでご紹介しておきます
7日付defense-News記事によれば
●DARPAの担当責任者は、「Sea Hunter」が沿岸戦闘艦LCSと共に運用され、沿岸戦闘艦が搭載する対潜水艦用モジュールの付属遠隔センサーのような位置づけをイメージしている
●「Sea Hunter」は、人間のコントロール下にあるが、細かな動きを遠隔操縦する訳ではない。「Sparse Supervisory Control:希薄な監督コントロール」とのコンセプトで運用される
●今年1月にPortlandで基礎的な稼働試験を実施しており、7日に就航式が実施された。今後は数週間後にSan Diegoへ移送され、DARPAと米海軍研究所(ONR)により2018年9月まで、各種動作やセンサーの試験が行われる
●「Sea Hunter」は約40トンの燃料を搭載でき、最高速度は27ノットで試験を行っている。海面の荒れ具合が「Sea State 5」まででの運用を想定しているが、「Sea State 7」にも耐えられる構造になっている
●兵器は搭載せず、潜水艦探知追尾用のセンサーを搭載する。試験期間中は、監視係の人間が搭乗するブースを搭載し、安全上のバックアップ体制を取るが、信頼性が確認されるまでの期間である
●装備化が決定しているわけではないが、試験用の「Sea Hunter」は1隻約25億円で建造している。これを量産すると約21億円程度に価格は低下し、1日当たりの運用経費は200万円前後になるだろうと見積もられている
●なお上記価格には、開発経費やソフト開発経費等は含まれていない
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日進月歩の無人装備で、「Third Offset Strategy」でも中核的役割を期待されているところですが、海上における無人艦艇の運航規則はどうなっているのでしょうか? 公海上での無人艦艇の運航に、何らかの約束や国際的な共通認識はあるのでしょうか?
無人航空機よりも衝突の可能性が高いと思うので、少し気になりました。
写真のようにかなり大型ですので、敵からこっそり攻撃されたり、データを盗まれたりしないのかも少し心配です
米海軍の無人装備(水中も含め)の全体構想や「Sea Hunter」の位置づけをご説明できれば良いのですが、全く把握していません。
沿岸戦闘艦LCSの運用構想がぐらついているので、いろんな開発や計画が同時並行で進んでいる印象です。どなたか教えて下さい・・・
水中戦に関する記事
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