11日、米空軍等の人に関する施策で複数の発表がありましたのでご紹介します。一つは米空軍参謀総長の退役日の発表、二つには無人機操縦者の処遇改善、三つ目は米国防省のサイバー人材確保難についてです。
それぞれに関連はありませんが、色々な意味で米軍や米空軍が直面している人材面での課題の一側面です
米空軍参謀総長は7月1日退役
●10日付電子メールで米空軍報道官のChristopher Moore少佐は、Welsh米空軍参謀総長が7月1日退役すると連絡してきた
●後任の空軍参謀総長への引き継ぎ式典の日時は未定で、後任者候補がホワイトハウスから発表されるタイミングで明らかになるだろうと報道官は説明している。
●ただし、次期空軍参謀総長の候補者が何時明らかになるかは不明である
●なおWeish参謀総長は、2012年8月から現職に就いており、F-16とA-10の操縦者
ちなみに次期参謀総長候補は3名→黒人輸送機パイロット、高齢の戦闘機パイロット、ハーバード出の非パイロットの宇宙コマンド司令官
「次の空軍参謀総長候補3名」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09
無人機操縦者の処遇改善策2つ
●11日、James空軍長官は書面で、これまで偵察部隊と位置付けられていたMQ-1Bプレデター部隊を攻撃部隊(attack wings)と区分することにすると発表した
●また、無人機操縦者が物理的に戦闘地域に所在していなくても、戦闘地域内で活動する無人機を操作した場合には、その時間を「戦闘時間」として人事記録に記載すると発表した
●これまでMQ-9 Reaperは攻撃部隊と区分されていたが、MQ-1プレデターは(当初は武装できなかったことも有り)偵察部隊とされていた
●また「戦闘時間」記録についてJames長官は「無人機操縦者やセンサー操作員が極めて重いストレス下に置かれて居ることが明らかになったため」と述べ、空軍参謀総長は「空での戦いは常に変化し続けている」とコメントしている
サイバー人材確保の難しさ
●11日、退任したばかりのBrad Carson前国防省人材担当次官はCSISで講演し、サイバー関連などハイテク分野を支える人材確保の難しさを語った
●例えば、米国防省は学生が借りていた奨学金の返済を支援する手段を使えるが、サイバー分野で国防省に必要な優秀な学生を獲得するには十分なインセンティブではない
●給与面では、例えばグーグル等の企業が優秀な学生に提示する額の、半分程度しか国防省は支払えない。また、国防省の仕事に興味を持ってくれても、「セキュリティー審査」に必要な時間が長く、その時間が待てずにハイテク企業に多くの人材が流れている
●Carson氏は、これら問題に対処すべく「Force of the Future」施策の人材確保施策に取り組んだが、サイバー分野だけでなく、全ての分野で人材のニーズは膨らんでいると語った
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空軍参謀総長に就任するには、議会承認の手続きや所要の引き継ぎ等を考えれば、2ヶ月間は必要だと思います。
近々候補者が発表されるとの「前ブリ」でしょうか? ・・・としては「ロビンソン大将」が候補から外れた時点で、興味ロス状態ですが・・
無人機分野で米空軍は、金銭手当改革や不便な勤務地解消だけでなく、無人機操縦者の「情」に訴えル施策も繰り出してきました。
「空での戦いは常に変化し続けている」は、日本の戦闘機命派に聞かせたい言葉です
人材確保と「セキュリティー審査」に必要な時間が長い問題は、プロの視点ですね。
「次の空軍参謀総長候補3名」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09
無人機操縦者の処遇改善
「下士官を無人機操縦者に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-19
「問題点と処遇改善の方向性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-11
「空軍長官が現状を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-17
Force of the Future関連
「体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25