祝復活:EMP効果兵器CHAMPに米空軍が予算を

2012年10月以後「塩漬け」だったCHAMPに動き
CHAMP2.jpg23日、Raytheon社は、ボーイングや米空軍研究所と「かつて」開発していた局所的にEMP効果を発生させる兵器を、引き続き開発する約6億円の契約を米空軍と結んだと発表しました。
CHAMPは「Counter-Electronics High Power Microwave Advanced Missile」の略で、空中発射の巡航ミサイルに、強力な電磁波を指向性をもって発生させる装置を搭載する兵器で、2012年10月の試験でその能力を示した以降、具体的な動きが途絶えていました
その間、優先順位の関係で予算計画から漏れたとか、議論の話題になったとか、忘れた頃に耳にする程度になっていましたが、正式に「復活の兆し」です。
契約の細部は不明で、6億円程度の予算ですから、本格導入が決定されたわけではありませんが、恐らく多分想像するに「Third Offset Strategy」関連で、追加試験や検証を行うのかも知れません
23日付 Raytheon社発表によれば
CHAMP4.jpg米空軍はRaytheon社と、空中発射巡航ミサイル形態のCHAMPの契約を結んだ。空中発射巡航ミサイルを製造するボーイングと「Sandia National Laboratories」とも協力して契約を遂行する
CHAMPは「non-kinetic」な手法で敵の電子システムを無効化する兵器であり、同契約では、CHAMPと2発のCHAMP搭載空中発射巡航ミサイルを準備し、米空軍研究所(AFRL)に納入することになっている
●この知らせは、2012年10月に米空軍研究所がCHAMPの試験に成功して以来の大きなCHAMP関連ニュースである
●同社先進ミサイル部門の副社長Thomas Bussing博士は、「非破壊的・非運動エネルギーシステムであるCHAMPは、敵施設やその周辺にほとんど派生的破壊を及ぼすことなく、敵関連システムを無効化するオプションを米国に提供してくれる新システムだ」とCHAMPを説明した
●また「2セットのCHAMPと空中発射巡航ミサイルは、低リスクで未来の能力を今にもたらしてくれるものだ」と同副社長は訴えた
成功した2012年10月試験の様子
CHAMP.jpgユタ試験場でボーイングや米空軍研究所等が協力して行った同年10月16日のCHAMP試験は、建物に被害を与えることなく成功裏に終了した
●試験用の複数の電子システムや装置を配置した複数階の建物に向け、CHAMPから照射された高出力電磁波は、1時間の間に7つの目標を回復不可能なまでに無効化した
軍事用に強固に設計された電子回路等に対しCHAMPが有効かについて疑問視する声もあるが、実用化の見通しは明るく、同試験から得られた各種データの分析が続けられている
●ボーイング社の担当責任者は「近い将来、最初の兵士や航空機が目標地域に到達する前に、敵の電子システムやデータを使用不可能にする事が出来るだろう」と表現している
2015年4月の状況(議員がCHAMP予算を要求)
●共和党のNugent議員は、米空軍は18ヶ月あればCHAMPを、核兵器を取り外して倉庫に保管してある巡航ミサイルに搭載可能なはずだと主張し、予算案の修正を要求している(不採用になった)
米空軍はCHAMPを再利用(reusable)したいと考えており、回収可能なアセットに搭載してCHAMPを使用したいとの考えを示している
●Nugent議員は「米空軍は回収可能な手段を確保した後にCHAMPを使用すると言っているが、回収可能な手段の研究や開発に全く手を付けていない」と問題視している
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F-35 luke AFB.jpg2セットのCHAMP搭載・空中発射巡航ミサイルをどのように使用するのか不明ですが、前線部隊ではなく空軍研究所に納入するのですから、何らかの試験や確認を行うのでしょう
改修して再利用したい」とは、兵器技術の流出を恐れての事なのでしょうか? 外国に売却する計画は・・・ないでしょうねぇ・・・。しかし、こんな兵器を中国にコピーされたら・・と考えると恐ろしくなります
でも「戦闘機命派」はきっと、そんな兵器を使ったら全面戦争になるから絶対使用されないので、今まで通り戦闘機への投資を最優先と言うか、CHAMPなんかの存在から目をそむけ、戦闘機数の維持だけに全力を尽くすのでしょうね・・・
CHAMP関連の過去記事
「Nugent議員がCHAMP実用化要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-05
「夢のようなCHAMP!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-08

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