総取得機数の削減には触れず、近未来しか語らない作戦か?
9日、米国防省の2017年度予算案が公表され、米空軍はF-35調達機数を2018年度までに年60機ペースにする計画を断念し、今後5年間の調達機数を当初計画より45機削減すると明らかにしました。
2017年度調達を5機削減する43機にすることは2日明らかにされていましたが、予算枠に収まらないからとの理由で、更に今後5年間は調達機数を削減すると発表しました
ちなみに米空軍幹部は、この調達機数削減によっても、1機当たりの価格には大きな変化はないだろうと述べることも忘れませんでした
9日付Defense-News記事によれば
●9日、米空軍の2017年度予算案に関しMike McCord米空軍監察官は記者団に、今後5年間では米空軍の削減数が最も大きいが、3軍が購入するF-35総数も削減されると述べた
●更にMcCord監察官は、「(削減分のF-35機数に関しては、)今後将来の5カ年計画で取り返したいと検討している」、「しかし、多額の予算が必要であり、当初計画していた調達ペースに追いつけるかは不透明である」と語った
●米空軍の2017年度予算案によれば
当初の計画:2017年度48機、2018年度60機
修正後計画:2017年度43機、2018年度44機、19と20年度48機、21年度60機
●米空軍が調達を計画している計1763機からすれば、今後5年間の削減数は大きな影響を与えないかもしれないが、短期的に1機当たりの単価を押し上げるだろうと専門家は見ている。
●また専門家の中には、海外F-35購入予定国を驚かせ、F-35計画全体に「ドミノ効果」を生むと確信している者もいる。ミッチェル研究所のDoug Birkey研究部長は、「F-35調達機数の削減や調達先送りを始めた瞬間に、単価は上昇しする。削減や遅れはリスク要因である」と語っている
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2017年度予算案に関し、当初計画から削減された米空軍の主要項目には、C-130J Super Hercules調達機数の14機から11機への削減が含まれているようですが、何と言っても「F-35を犠牲」の姿勢が際だった予算案となっているようです。
2月に入り、カーター国防長官が各軍種の基地等をまわって2017年度予算案の説明行脚を行いましたが、そこで強調されていた対中国や対ロシアを強く意識した「ハイエンド」「Full-Spectrum」紛争への準備が、単なる「口先介入」や「アナウンスメント効果狙い」なのか、「アジア太平洋リバランス」への取り組みを実効的カバーを試みるものなのかは、もう少しフォローする必要があるでしょう
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