ついに米空軍が下士官に無人機操縦を

RQ-4 Misawa2.jpg17日、米空軍はISR無人機RQ-4グローバルホークの操縦者に「下士官」を採用すると発表し、今後細部の受け入れ要領を半年検討すると明らかにしました。
現時点で下士官を受け入れるのは、あくまでもISR任務のみを実施するRQ-4で、ミサイルや爆弾を搭載可能なMQ-1やMQ-9操縦者は対象外です
James米空軍長官等の空軍幹部は、下士官に士官と同様の仕事をさせるのは、宇宙任務のクルーに最近下士官受け入れてたのと同じで、慎重にやれば需要が拡大し続ける無人機運用を支える事が出来ると論理展開しています
17日付米空軍web記事によれば
RQ-4 Misawa.jpg●James空軍長官は「米空軍の下士官は世界一であり、彼らが同任務を遂行でき、しかもうまくやり遂げるだろうと確信している」と述べ、「前線指揮官からの無人機需要が急増する中、無人機運用組織は極めて重要であり、将来の任務環境に適応するための正しい判断である」と説明した
●空軍長官とWelsh空軍参謀総長は米空軍戦闘コマンド司令官に対し、6ヶ月間で下士官受け入れに必要な諸計画、つまり対象要員の選抜基準、訓練計画、下士官操縦者の経歴管理計画、職務規定、諸手当、士官と下士官の任務分担と人員比率等々について検討するよう命じた
●またJames長官は、「宇宙任務に下士官を受け入れ、士官と融合させたように、我々は慎重にグローバルホークによるISR任務に下士官を取り込んでいく」と説明した
●宇宙分野では、衛星運用分野に下士官を受入る際、新たな責務に下士官が適応できるよう段階的に取り組み、受け入れ部隊が体制を整え、余力の出来た士官が新たな需要の分野に移行することが出来た
●結果として、(士官に)リーダーシップを発揮する機会を増やし、宇宙作戦を安定させ、ますます複雑で厳しい宇宙環境への備えを強化できた
RQ-4 Misawa3.jpg●Welsh空軍参謀総長も、「将来のISR需要に備えた対処であり、宇宙分野で士官と下士官の双方に自己啓発の道を開いて宇宙任務を導いた施策を、RQ-4任務にも適応可能と考える」と述べ、
●「RQ-4は最も安定したISR任務で、新たな能力を受け入れて将来環境に備えるに相応しい場である」、「現在のRQ-4士官操縦者には最小限の影響で済むように配慮する」と説明した
●下士官操縦者の機種拡大に関しては、「経験豊富な士官の監督下でRQ-4下士官操縦者が任務に取り組む過程で、同様のアプローチが他のシステムで可能かどうかを学ぶことになるだろう」、「現時点で対象機種拡大を語るのは時期尚早だ」と述べた
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なお12月6日の週に米空軍は無人機操縦者の勤務地を増加させ(辺鄙な田舎だけでなく生活や勉強に便利な基地も)、操縦者も3000名規模に増やすことを柱にした、無人運用組織の士気高揚策を発表しています
航空機操作の技術は、「持って生まれた才能」や「動物的な感」がものを言う世界で、士官であろうが下士官であろうが関係なく、適正のある人間がやればよいと思いますが、相手を殺傷する任務を負う無人機への配置は慎重に考えるのでしょう
RQ-4 Misawa4.jpgでも操縦という「士官であるパイロットの聖域」に、下士官を入れる判断はパイロット族にとっては大きな判断なのでしょう。高々度をゆったり飛んでISR活動するだけだから・・・と組織内に説明しながら、需要が急増しているからと言い訳しながら、「アリの一穴」を許したのでしょう
でも、責任を負えて、判断力が備わった士官でないと有人機は操縦させない・・と言われると、なんとなく自らの領域を守りたいとの操縦者族の職域防御本能の臭いを感じてしまいます。
地上部隊の新兵だって、銃を持って、弾を撃つわけですから。
空中での状況は当該パイロットにしか判らず、士官操縦者でないと現場の判断は出来ない・・と言われても、複雑な地上任務でも一緒でしょ・・と言いたくなります
無人機操縦者の問題関連
「問題点と処遇改善の方向性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-11
「空軍長官が現状を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-17
「無人機操縦者の離職止まず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-31
「無人機操縦者手当を2倍以上に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17
「無人機は事故率6倍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-21-1

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