台湾の軍事見本市から見えてくるもの

TADTE4.jpg8日付Defense-News記事が、8月13~16日に台北で開催予定である台湾唯一の軍事見本市(台北航空宇宙・国防展示会)の概要を紹介しつつ、展示会に参加する企業数や展示品の特徴等を考察しています。
2年に一度開催される展示会(TADTE:Taipei Aerospace and Defense Technology Exhibition)で、約700のブースが設けられ、海外からも日本を含む7カ国が参加する展示会のようです
そんなに細かな情報や分析が記事に含まれているわけでは無いですが、台湾の情勢や国防政策は日本の将来を考える上での貴重な情報であり、台湾に関する軍事情報は少ないので、取り上げます。
日本で台湾と言えば、AKBが台湾でオーディションをやり、合格者が17名(予定は1名)も出た事が話題になるくらいですが、台湾と南西諸島の軍事的な位置取りがほぼ同じである事を忘れてはなりません
8日付Defense-Newsは「TADTE」に関し
TADTE.jpg●TADTEの報道担当者によれば、今回の展示会参加者は前回2013年時と比較し、27%増となっている。しかし海外からの参加者は減少している。全体で126の団体が694のブースを設け、海外からは独、アイルランド、伊、日本、スウェーデン、英、米からの展示者がある
●TADTEでは「軍民両方の航空宇宙関連商品と兵器や関連装備」が展示される。今回は無人システムの展示増加が特徴だろう
無人システム展示エリアには、12の展示団体(2013年は4つ)がブースを設け、この種の展示会初出品の水中無人艇、無人機カメラシステム、無人機地図作成システム等もお披露目の予定である
無人システムに関する2つの会議も展示会に併せて開催予定で、「無人機技術開発」と「無人システムの応用」に関するテーマが設定されている
TADTE5.jpg台湾国防省は自身のブースを開設し、台湾国産の対艦ミサイル「Hsiung Feng 3」、防空ミサイル「Tien Kung 3」、そして台湾国産戦闘機用の空対空ミサイル「Tien Chien」等の展示が予定されている
●展示が増加した分野は、例えば中国軍需産業の航空部門は前回ゼロから今回14団体に増加し、精密機械部品関連もゼロから7団体に増えている。台湾航空宇宙産業会の展示も3から11に増えている
米主要企業の参加は低調
●一方で、海外からの団体は14から9に減少している。米主要企業の活動費削減の影響も有り、Lockheed Martinを除き主要米企業は参加していない
●ただし、米国製兵器や装備品はほとんどが国防省経由のFMS契約で行われるため、また企業が中国からの反発を警戒して表立った販売活動を控えているため、との側面がある
現実には台湾で米企業の存在は大きく、例えば以下の装備を
ロッキード社は、F-16の近代化改修
ボーイング社は、30機のアパッチ攻撃ヘリ
シコルスキー社は、60機のUH-60M多用途ヘリ、約10機のMH-60R対潜ヘリ
N-グラマン社は、F-16改修用のASSAレーダー
レイセオン社は、早期警戒用レーダー
TADTE2.jpgまたロッキードとレイセオンのチームが、台湾海軍の蘭製潜水艦の能力向上の可能性検討、また台湾国産潜水艦への部品供給の可能性検討
●上記以外にも、台湾国防省が米陸軍M-1戦車のリフォーム再生型を要望しているとの話もある。
●しかし、台湾は山岳地帯が多く、平地も湿地が多くて戦車運用に適していないとの批判があり、また台湾の多くの橋は戦車の重量に耐えられない構造強度しか無く、戦車導入には批判的な声がある。
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台湾が現有の戦車よりも重い「M1戦車」を欲しているとはがっかりな話ですが、米台湾関係は政治的に複雑ですから、米企業としても「商売優先」とは行かないのでしょう
台湾の国防政策は、「弱者の戦法」に移行しつつある、又は移行すべきであるとの指摘を、有力な筋から聞かれるようになってきました。
TADTE3.jpg「移行しつつある」は台湾で今年前半教鞭を執っていた慶応の神保教授で、「移行すべき」は昨年末のCSBA報告書です。
最初に述べたように、軍事的に台湾は南西諸島とほぼ同じ地理的位置(中国から見て)ですので、日本も大いに台湾の動静から学ぶ必要があります
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