Dunford海兵隊司令官が、統合参謀本部議長になるための承認を得るべく9日に上院軍事委員会へ提出した文書に、「F-35の総調達機数を再精査している」との表現があった模様です。
もちろん現時点では「必要不可欠な装備」で「現計画を引き続き追求」ときっぱり述べているようですが、当然必要な決断の時は着実に近づいているようです
10日付DODBuzz記事によれば
●上院軍事委員会に提出された文書には、「変化し続ける軍事戦略と最新の国防計画ガイダンスを踏まえ、我々は戦略基礎戦力検討を行っており、2443機となっているF-35総調達数が適切かどうかを分析している」と記述されている
●一方で同文書では「将来において敵対的な脅威が投げかける課題に対応するため、F-35は制空維持確保のためのバイタルな部分である」、「分析が終了するまで、戦闘機の不足が生じないよう、現在計画された数量の調達を追求する」とも表現している
●F-35の調達機数については、共同開発国の間でも削減が続いており、イタリアは当初131機から90機へ縮小し、オランダは85機から37機へ、カナダは購入自体を再検討している
●また豪州は、強襲揚陸艦にF-35B型を搭載する計画を、艦側の改修に多額の費用が必要なことならキャンセルしたと報道されているところ
豪州がF-35Bの12機発注をキャンセル!?
10日付Defense-Techは「Australian Financial Review」を引用し、豪州が豪海軍の強襲揚陸艦2隻に搭載を予定していた12機のF-35B購入をキャンセルしたと報じています
キャンセルの理由は、垂直離着陸型のF-35を豪州の強襲揚陸艦に搭載するために多額の艦艇改修費用が必要なためだとされています
10日付Defense-Tech記事によれば
●「Australian Financial Review」のレポートは、豪州軍が垂直離着陸が可能なF-35Bを2隻の強制揚陸艦に搭載する計画をキャンセルすることに決定した
●同レポートは、「同海軍の27000トンの強襲揚陸艦にF-35を搭載するという、アボット豪首相の計画は静かに破棄された」と描写している
●F-35の搭載を予定していた2隻の揚陸艦は、豪海軍最大の艦艇であるが、F-35B受け入れのために大量の改修が必要とされていた
●同レポートは「垂直離着陸機の受け入れには、新レーダー、計器着陸装置、耐熱甲板、燃料貯蔵庫と燃料配管、機体格納庫広範な艦艇改修が必要だった」と解説している
米海軍の強襲揚陸艦も改修を
●米海軍は、F-35Bを搭載する最初の最新鋭アメリカ級強襲揚陸艦となるUSS Americaを、海兵隊F-35Bを適切に受け入れるための改修を進めている。
●改修には、F-35Bの垂直離着陸の熱に耐えるような甲板の強化も含まれると海軍幹部が語っている
●USS Americaは合計31機の航空機を搭載予定で、この数には12機のMV-22オスプレイ、CH-53へり、AH-1Zコブラ戦闘ヘリ、 UH-1Yヘリ及びF-35Bが含まれる
●なおアメリカ級は、以前のWasp級とは異なり、人員や装備品を陸地から艦艇に移送するコネクターを装備しておらず、代わりに航空機の運用に重点を置いた広い甲板を備えた強襲揚陸艦である
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この夏から秋にかけ、米軍の主要幹部が多数交代します。
新しい顔ぶれになった辺りで、種々検討した結果、情勢の変化もあり、F-35の総調達数については・・・てな発表があるのかもしれません。
徐々に検討しているとの情報を流しつつ、諸外国の反応を見つつ・・・といった流れが予想されます。その第一弾がDunford海兵隊司令官の文書でしょう。
豪州の構想変更は、F-35計画全体に影響があるような事象ではありませんが、日本の空母型護衛艦にF-35Bを搭載したいと考えている皆様には、そんなに簡単ではないことをご理解いただきましょう
また先日、F-35の試験に当たる操縦者が、空中戦でF-16に負けると発言して大きな話題となりました。米空軍は公式に、F-35の搭載装備が不完全な段階でのコメントで、そのような評価な不適切だと懸命に反論していました
米空軍のそんなに熱くならなければよいのに・・・空中戦など発生可能性は低いと言えばよいのに・・・と思います
なお、Defense-Tech記事の「読者コメント欄」には、「豪州の判断は素晴らしい」、「米海兵隊もさっさとF-35から撤退せよ」、「F-35はSuperChicken with numerous flaws」だとのコメントが殺到しています。