イスラエル:対テロ小規模作戦にもF-35が必要
5月27日、イスラエル空軍司令官が、対テロのような「small wars」でもF-35が必要だと訴えています
F-35が将来作戦環境の中でも必要かに関するイスラエルでの議論の一つですが、人口密集地に周辺住民を人質のようにして立てこもるハマス等の組織対応にこそ、最新のヘビーなプラットフォームが必要だと訴えています
イスラエルのシンクタンク主催「Winning Small Wars and the Role of Air Power」研究会での発言ですが、戦闘機から人口密集地に爆弾を落とすことによる周辺住民等への被害拡大が非難される中でも、他の手段では困難な任務で、細心の注意を払って遂行すると主張しています
5月30日付Defense-Newsによれば
●イスラエル空軍司令官Amir Eshel少将は、F-35のような重装備戦闘機は、もはや市街戦には不適当ではないかとの意見に対し、良く将来戦闘環境を考えれば、小規模戦や対テロ作戦での最新重装備戦闘機の需要は拡大すると訴えた
●同司令官の部下でイスラエル軍J-5に就任予定のAmikam Norkin准将も、「ボーリング用ボールでビリヤードをする」との表現で、同空軍の作戦コンセプトを説明した
●空軍司令官は、「我々はhuman terrain(人間が形成する地域)に、精密誘導兵器のJDAMやSDBやPavewaysやSPICE等を投入しなければならない。戦闘機はそれらを操る装備である」と語り、
●更に「F-35が不必要だと考える人間は、将来の脅威環境を理解していない。小国やテロ組織でさえも、SAM等を配備する時代の航空優勢を我々は議論しているのだ」と訴えた
●また同司令官は「第5世代戦闘機は我が将来の中心戦力であり、他のアセットの道を開き、大規模紛争から小規模紛争まで、あらゆる場面で貢献する」と説明した
●更に「周辺施設や住民への被害極限は大きな挑戦である。特に相手が付随被害拡大を全力で作為している様な場合には」と述べ、「モラルへの挑戦である。しかし我々は常に被害極限を旨に作戦を進める」と語った
●また、昨年夏のガザ作戦では、低空飛行するF-16が、味方から僅か250mしか離れていない場所を攻撃している。これは統合作戦のたまものである
●昨夏のガザ作戦で10階建てのビルを空爆した際は、ケリー米国務長官も厳しく非難したが、ガザ作戦後米国はイスラエルへの約2000億円分の弾薬補給を承認している
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イスラエルは、脅威の変化を前に、F-35導入の是非を熱く議論した過去を持つ国です。よく分からないうちに決定した日本とは違います。
F-35よりは高性能弾道・巡航ミサイルを導入した方が有効ではないか、対テロはピカピカの戦闘機でなくても良いのではないか・・との意見も踏まえ、国を2分して議論した経緯がある国です
そんな経緯を経ていますので、今更「F-35はtoo much」だと言えるはずはありませんし、逆に「ボーリング用ボールでビリヤードをする」ぐらいの表現が可能なのでしょう
でも心配です。宗教政党の力が増す中で、混乱激動の中東の中で、F-35に手を出してしまったイスラエルがどうなるのか・・・
イスラエルとF-35
「イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-01
「続:イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-23-1
「追加購入F-35」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-30-1
「続追加購入&アラブ禁輸!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-24
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20
「画像集:イスラエル女性兵士」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27