海空軍共用の対艦ミサイルLRASM開発状況

LRASM44.jpg15日付Defense-Tech記事が、長距離対艦ミサイルの「真打」として米海軍とLockheed Martinが主に開発中の「LRASM:Long Range Anti-Ship Missile」の状況について、Lockheed関係者への取材記事を掲載しています。
LRASMは、米海軍FA-18のほか、艦艇の垂直発射機VLSや潜水艦の発射管、更に米空軍の爆撃機や戦闘爆撃機からの発射可能な自動又は半自動兵器で、対中国艦艇の切り札の一つと考えられています。
原型は今年から本格生産が始まる予定の長距離空対地ミサイルJASSM(Joint Air-to-Surface-Standoff Missile)で、共有できる分は活用して開発の効率化を図り、2013年から試験が開始されています
ただ細部は秘密部分が多く、その開発状況をご紹介するのは2013年11月以来となります
なおウィキペディアによる説明では・・・
→LRASMは、他の一般的な対艦ミサイルと異なり、GPSや戦術データ・リンクなど外部の情報システムとの連接が絶たれた状態においても、ミサイル搭載の測的システムにより自律的に攻撃を実施できることが求められている。
この測的システムは、明確な目標識別、移動目標に対する精密攻撃、敵対的環境における初期目標の確立能力を有するものとされている。これにより、このミサイルは、敵のハードキルを回避しうるよう設計されている
15日付Defense-Tech記事によれば
LRASM.jpg●米海軍はLockheed Martin社と共に、LRASM長距離自動対艦ミサイルをFA-18に搭載し、より遠方から目標を特定して攻撃する能力付与に取り組んでおり、2019年までの運用開始を計画している
●国防省のDARPAも加わっている開発では、艦艇や潜水艦からも自動又は半自動で発射攻撃できるように開発が進められている。海空軍とDARPAと企業は、少なくともこれまで3回試験を行っている。
射程やシーカー技術や誘導システムについてはほとんど明らかになっていないがLockheed関係者は公開値で射程200nmだと語っている。しかしこの値は実際の値よりかなり短く表現されているだろう
●またLockheed関係者は、LRASMが自動誘導技術を活用し、障害物を空中で避けて飛翔するよう設計されているとも話していた
LRASM5.jpg2013年8月に米空軍B-1B爆撃機から初の発射試験を行って成功したLRASMであるが、最も最近では、本年2月に加州の海上射場で発射試験に成功しており、企業関係者はB-1B用には2018年までに運用可能になるだろうと語っている
●米海軍はまた、(FA-18からだけではなく、)艦艇の垂直発射装置VLSからの発射試験をニューメキシコ州の砂漠で実施している。
●企業の開発担当責任者は「VLSからミサイルが損傷することなくスムーズに射出されることを確認しており、技術の成熟のため、更に数回の試験を予定している」と語った
●また同責任者は、「トマホーク巡航ミサイルが発射できる場所なら、どこからでも発射可能にする」、「LRASMに搭載するものは、現在の兵器庫には無い:What we bring with LRASM is not part of the inventory」とも語った
最終的にLRASMは、空軍のF-15EやF-35等にも搭載可能になるだろう
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LRASM2.jpg射程が気になるところですが、原型である空対地ミサイルのJASSMの射程延伸型JASSM-ERは、650NM(1160km)の射程を実現しており、同レベルが期待できると考えられます。
1000km以上なら、第一列島線外から中国大陸が狙えます
しかし、「autonomously or semi-autonomously」や「障害物を避ける」の意味が不明ですし、「What we bring with LRASM is not part of the inventory」も意味が良くわかりません
今後の情報に注目したいと思います(ネットで調べれば情報はあるようですが・・・)
LRASM関連の記事
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

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