15日付Defense-Techは、Google Maps等に画像を提供している民間衛星画像会社が、画像を利用した情報分析を行っており、象牙密猟者やイスラム過激派の動向追跡等様々なサービスが一般に提供されていると紹介しています
今や「分解能30cm」の画像が提供可能になった民間衛星画像会社は、そのデータを活用した様々なビジネスに乗り出しているようです。
記事が取り上げているのはほんの一部かも知れませんが、その可能性に注目です
15日付Defense-Tech記事によれば
●「Google Maps」や「Microsoft Bing」に衛星画像を提供している企業が、人間の活動を追跡する等の分析サービスの提供を開始している
●例えばDigitalGlobe社は、最近「分解能30cm」の画像を提供し始めた最初の民間企業となったが、マンホールや消火栓等の地上物体を識別出来るその能力をサービスに生かし始めている
●またコロラド州に本拠を置く「The Longmont社」も、衛星写真から人間の行動パターンを分析し、次に事象が発生する場所を予測するサービスを行っている
●DigitalGlobe社の戦略問題対処部の幹部は、「習慣性を持つのが我々人類であり、画像地理データを活用することでそのパターンを見つけ出し、次の事象の予測に活用出来る」と語った
●同社の幹部達は「Seeing a Better World」と名付けた取り組みを推進しており、世界的な開発機関と協力し、食料安全保障やインフラ開発、また人権問題にも画像解析技術の活用を進めている
●例えば「Amnesty International」は、ナイジェリアで数千人の市民を殺害し、数百人の女学生を誘拐したイスラムテロ組織「Boko Haram」の動向を、同社の画像分析技術で解析している
●同社の提供する分析サービス「Signature Analyst」が、Boko Haramの行動パターン分析に使用されている。例えば誘拐された女学生の過去の位置情報や移動情報から、予測モデルを建て、将来の可能性を予見する
●衛星画像の分析には、SNS上での情報や他の情報も融合して用いられ、将来予測の確度向上が図られている。これにより応用範囲は広がり、ナイジェリアでの原油強奪、南スーダンでの象の密猟、シリア内戦の農業への影響分析にも利用されている
●大部分のアフリカの国立公園は、公園監視員が数少ない資源だが、広大なエリアをカバー出来ないでいた。そこで「どこで密猟が起こりそうか」の予測を試みた。分析結果を元に、予測した5%のエリアに監視員を集中投入し、密猟者の摘発に効果を上げることが出来ている
●これら企業は、民間企業や一般機関だけでなく、国防分野にも分析技術の適応可能性を秘めている。実際、国家画像地理情報庁(National Geospatial-Intelligence Agency)や他政府機関と既に契約を結んでいる
●DigitalGlobe社幹部は「我が社のビジョンは、変わりゆく地球に対応するため必要不可欠な、地球に関する生きたデジタル情報を創造することである」と意気込みを語っている
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「分解能30cm」の画像は、ついこの間まで軍事用の最高精度の写真だったように思います。
更に人工知能やデジタルデータ処理技術の進歩により、いろんな事が分析出来るのでしょう・・・。有意義な分野で活用されることを願うばかりです・・・。
アフリカの国立公園や人権団体が利用可能なサービスとは、価格はどのくらいなんでしょうか? 興味津々です。
それにしても、ここで紹介したDigitalGlobe社の幹部「Kumar Navulur氏」や「Taner Kodanaz氏」はどこの国の方でしょうか? 多国籍な人材活用の企業ですねぇ・・
宇宙と言えば、米空軍の赤外線衛星が
●16日James空軍長官は講演で、今年の夏から(やっと)赤外線衛星(SBIRS:Space Based Infrared System satellites)からの重要情報や画像を活用出来ると述べた
●同静止衛星に搭載の赤外線センサーは、地上システムも含めたデータ処理の問題により、これまで利用出来なかった。
●開発したLockheed Martin社は、問題解決のために複数回の改善策を講じているところであり、3月中旬にも対策が行われたと空軍長官は語った
●長官は更に、来年までには衛星からのデータが完全に情報分析機関に提供され、現場指揮官に供されると説明し、SBIRSへの追加計画の検討も開始すると説明した
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