12日、元北京&香港駐在の米国武官だった中国軍事専門家が講演し、中国軍の特殊部隊は訓練や物資は充実しているが、その作戦を支える輸送や火力支援能力が不十分で弱点となっている、と語りました。
同講演は中国の軍事・安全保障問題を専門に扱う会議で行われ、つまり「その道の専門家」の集まりでの発言ですので、断片的ながらご紹介しておきます
16日付米空軍協会web記事によれば
●12日、Jamestown Foundationが主催した毎年恒例の「China Defense and Security Conference」で、元北京&香港駐在の米国武官だった中国軍事専門家のDennis Blasko氏(退役中佐)が講演し、中国は特殊作戦能力を強化改善しつつあるが、依然不十分なところもあると語った
●Blasko氏は、中国軍には空軍の特殊部隊(第15空挺軍)も含めて2~3万人の特殊部隊が存在し、戦場で通常軍の作戦を支援するために活動する訓練がほとんどであると語った
●そして、同特殊部隊の訓練や物資の供給は十分な水準にあるが、特殊部隊がその能力を「power projection」するために不可欠な、しっかりとした専用の兵站支援やリアルタイムのISR能力がほとんど備わっていないと分析した
●また同氏は、中国の特殊部隊には特殊部隊を支援する長距離空輸能力や航空作戦能力(米軍のAC-130特殊作戦機のような)が欠けており、国外で不正規戦を一定期間遂行可能な組織、訓練、装備体系にはなっていないと語った
●一方で同会議に出席したKen Allen氏は、中国軍自体は、例えば中国空軍は2011年以降、上海協力機構(SCO)の演習に参加するため国外で訓練を行っており、また2国間訓練をベラルーシ、ベネズエラ、インドネシアで行っており、その際は大型輸送機IL-76や空中給油機の活動も見られると語った
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先月ご紹介したRANDによる「中国軍の弱点」レポートでも、兵站支援や輸送力の問題が指摘されていました。
今回は特殊部隊に注目した分析ですが、急速に拡大した実戦未経験な軍隊にありがちな、兵站部門の未成熟は十分あり得る事でしょう
陸上自衛隊は、尖閣諸島や南西諸島にこの特殊部隊が「偽装漁民」や「偽装難民」として漂着して大変なことになる・・・と危機感をあおって着上陸部隊の宣伝に活用しているのかも知れませんが、地に足を着け、「組織防衛」でない冷静な議論をお願いしたいものです
RAND「中国軍の弱点」レポート
「前半:中国軍の弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15
「後半:中国軍の弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15-1