22日付Defense-Tech記事はLockheed Martin社幹部の話を引用し、米海軍が想定しているA2AD対処の作戦構想NIFC-CAで、F-35を「センサー」として活用する試験計画を紹介しています
時期的には「今年か来年」とのぼんやりとした話ですが、第5世代機であるF-35を「shooter」ではなく「センサー」として位置付けている点が興味深いので取り上げます
なお、NIFC-CA全体についてはこちらを
「米海軍NIFC-CA構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
22日付Defense-Tech記事によれば
●米海軍とLockheed Martin社は、我を攻撃する対艦ミサイルを見通し線外の遠方で探知・撃破するため、F-35をセンサーとして活用する試験を計画している
●NIFC-CA(Naval Integrated Fire Control-Counter Air)は、イージス艦、E-2D、FA-18、F-35、SM-6等を有機的に連接して情報を共有し、艦艇レーダーの覆域外の遠方から巡航ミサイル等に対処しつつ、攻撃にも活用する構想である
●同社幹部によれば、米海軍システムコマンドと協力し、今年か来年、ホワイトサンズのミサイル射撃場(ニューメキシコ州の地上)でNIFC-CAのデモンストレーション試験を行う予定である
●「E-2Dの代替センサーも検討している」と同社幹部は語り、関係者によれば、E-2Dの代わりにF-35搭載レーダーやセンサー情報を活用するデモンストレーションとなる模様
●F-35を活用することで、NIFC-CA構想において求められる、ステルス目標対処のような益々複雑になる作戦を可能にすることを狙っている
●F-35のセンサーには、AESAレーダー、6つの電光カメラ情報を備えるDAS、目標の特定・識別を行うターゲティングシステムETOS、赤外線前方監視装置等々があり、それらを最大活用することを考えているようである
●米国防省がA2ADと呼ぶ、長距離対艦ミサイル等を使用した米軍によるアクセスを拒否する戦術は、米軍艦艇が相手国沿岸に接近することを困難にする
●しかしNIFC-CAは、より遠方で脅威に対処しようとする構想であり、米空母や艦艇の運用の安全を確保するに大きなインパクトがある
●防御だけでなく、攻撃にもNIFC-CAは威力を発揮し、より遠方の目標に対する攻撃を可能にする。例えば、SM-6を艦艇レーダーの覆域外の目標に誘導し、航空機や無人機、敵艦艇や建造物等に攻撃が可能である
●このNIFC-CA構想は、本年末、Teddy Roosevelt空母群に適応され、空母群全体の防御に貢献する。
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F-35に関し「E-2Dの代替センサー」との言及がありますが、E-2Dのような突破力がない非ステルス機が、A2ADエリアまたはその近傍で「空飛ぶレーダー」や「情報共有のハブ」としてどれだけ機能するのか疑問です
ですから、米海軍が保有する唯一のステルス機であるF-35が、センサーとしての機能を期待されるのは不自然ではありません。
だからでしょうか、冒頭でご紹介した過去記事では、攻撃という面ではFA-18が各種兵器の発射母機と想定されており、F-35がセンサー機能中心で描かれています
まだまだよくわからないNIFC-CA構想ですが、もっと不明な米空軍のA2AD対処構想と合わせ、今後も注視したいと思います
関連の米海軍記事
「米海軍NIFC-CA構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「海軍トップ:ステルスはあと10年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13