20日付Defense-Newsは、米海軍がこれまで最新のイージス艦にしか搭載出来なかった艦艇防空ミサイルSM-6を、一般のイージス艦にも搭載可能にしたと報じています
これにより、優秀な防空ミサイルSM-6を従来の7倍の数の艦艇に搭載でき、通常防空だけでなく、巡航ミサイル対処やBMD強化にも期待が持てることになりそうです
20日付Defense-Newsによれば
●米海軍は前線部隊からの要望に応えるため、SM-6ミサイルの使用可能艦艇を大幅に拡大し、艦艇防空能力を向上させる。現在の5隻から35隻に増加へ
●従来、SM-6は最新のイージスシステム「baseline 9」を装備した艦艇にしか搭載できなかったが、米海軍は「baselines 5.3」や「baselines 3.A.0.」搭載艦にもSM-6を搭載許可することを決定した
●レイセオン社の計画責任者Mike Campisi氏は、「baselines 5でもSM-6を用いた対空戦闘が可能だと確認した。これにより米海軍の作戦コンセプトに新たな領域が開けることになる」と語った
●防空ミサイルとしてSM-6は目標の区分・識別能力に優れ、通常の固定翼や回転翼機目標のほか、巡航ミサイル迎撃能力も有している。
●また艦艇レーダー覆域外の目標にも指向可能で、より遠方で目標を破壊できるという大きな優位点を備えている
●「見通し外」攻撃能力に関しては、発射母艦以外のプラットフォームも含めたシステム全体を理解する必要があるが、自立シーカーを備えているだけで、艦艇レーダーの負担を軽減することに貢献できる
●レイセオン社はこれまでに160発のSM-6を米海軍に納入しているが、追加で232発の納入契約を結んだばかりである。そして今年4月にはSM-6のフル生産に入る予定で、総計1800発の調達を計画している
SM-6(Standard Missile-6:RIM-174)補足説明
●SM-6は固定翼機、ヘリコプター、UAV、対艦巡航ミサイルなどを対象とする長距離対空ミサイルである。2011年には初期作戦能力を獲得し、2014年12月に運用を開始した
●ミサイル本体はSM-2射程延長型にSM-2の弾頭とAIM-120空対空ミサイルのアクティブ・シーカーを組み合わせている。このため、誘導にアクティブ、セミアクティブ双方のモードを利用することができる。
●優れた信号処理能力と誘導制御力を得て、高速の目標や艦のイルミネーターの範囲外にいる目標の捕捉も可能となった
BMDにも活用へ
●米ミサイル防衛庁と米海軍は、SM-6を基にして終末段階でのBMD用迎撃ミサイルを開発する予定である
●これはSea-based terminal (SBT) と呼ばれ、2015年頃から導入が開始される計画。その後はミッドコース段階迎撃を担当するSM-3とともに、イージスBMDを構成する
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なぜ最新の「baseline 9」イージスだけでなく、「baselines 5.3」や「baselines 3.A.0.」搭載艦にもSM-6を搭載許可できたのか良くわかりません。
ソフトを改修したのか、SM-6の能力発揮に制約があっても、それを許容したのか・・・
いずれにしても、対艦巡航ミサイルの脅威が急速に高まり、可能なことから「どんどんやろう」との姿勢なのでしょう。
北朝鮮までもが、対艦巡航ミサイルを導入したとの報道もありましたし・・・
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