26日、日米両国が同時に、航空自衛隊経が岬レーダーサイトに隣接し場所(米軍経ヶ岬通信所:Kyogamisaki Communications Site:KCS)にXバンドレーダー配備を完了したと発表しました。実質御用納めの年内最後のドサクサに、さらりと発表されています
特に新しい事実はありませんが、年末の「ネタ枯れ」時期ですので、「重箱の隅」をつついて「日米の発表」をご紹介します
まず防衛省の発表では
●国内2基目となるTPY-2レーダーの米軍経ヶ岬通信所への配備については、我が国も協力を行いつつ、米国防省が設置・試験や施設建設等の準備を行ってきました。
●本日、その準備作業が完了し、TPY-2レーダーが実際に任務を行う米軍に移管され、配備されましたので、お知らせいたします。
●TPY-2レーダーは、弾道ミサイルが飛来する可能性が高い空域を監視し、目標を探知・追尾する能力に優れています。
●この追加配備は、我が国及び米国に飛来する弾道ミサイルについて探知・追尾能力の向上を図ることが可能となるため、日米双方の更なる弾道ミサイル防衛能力の向上に寄与するものです
米国防省の発表では(一部)
●日本に配備された2番目のArmy Navy/Transportable Radar Surveillance (AN/TPY-2) radarは、日本と米国本土の弾道ミサイル防衛のためのセンサーカバーを強化するものである
●日本の防衛省の協力も得て、本レーダーは、米太平洋コマンドと米北米コマンドの使用に供するため米国防省により配備された
●AN/TPY-2レーダーは米本土防衛と地域ミサイル防衛の両方に貢献する輸送可能な高性能レーダーであり、他にはトルコと中東に配備されている
26日付Defense-Techによれば
●経が岬サイトは、北朝鮮からグアムやハワイに向け発射された短距離&中距離弾道ミサイルが上空を通過する位置にあるため、理想的なXバンドレーダーの配備場所と考えられている(まんぐーす注:特にグアム向けミサイル探知用か。ハワイ向けには車力が理想的)
●米ミサイル防衛庁(MDA:Missile Defense Agency)の資料によれば、同レーダーは全てのタイプの弾道ミサイルを、弾道軌道の全ての段階で探知追尾できる
●また同レーダーは、あらゆる迎撃ミサイル部隊にミサイル追尾情報を提供できる。例えば太平洋地域のTHAAD、艦艇配備のイージスシステム、アラスカや加州配備の「Ground-based Mid-course Defense System」などである
●同レーダーは4つの部分、アンテナ部、電子回路部、冷却装置と電源部から構成され、C-5やC-17輸送機で輸送可能である
●米陸軍は当初18基の同システムを購入を計画していたが、強制削減で縮小を余儀なくされており現時点で計5機を調達したところ。日本の2基のほか、トルコと中東地域(UAEか?)に配備されている
●2013予算年度の時点では、1基当たり約200億円である
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レーダーの真上を弾道ミサイルが通過しなくても、十分に同レーダーで種々の弾道ミサイルを追尾可能です。米本土、ハワイ、そしてグアムに向かう弾道ミサイルを追尾可能でしょう
細かく言えば、北朝鮮から発射された米本土向け弾道ミサイルは日本本土上空は通過しません。樺太上空を通過する可能性はあるようですが、それより西を通過します
ハワイ向けは秋田や三沢基地上空を、グアム向けは経が岬や関西方面上空を通過することになります
BMDに関しては、「海国防衛ジャーナル」が詳しいです
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/tag/%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E9%98%B2%E8%A1%9B