14日まで開催されていた米空軍協会の秋総会で、米空軍の諸問題について幹部が講演等で語っています。
本日はその中から、F-35について国防省のBogdan中将、次期爆撃機(LRS-B)について調達担当のPawlikowski中将、そして特殊作戦コマンドのHeithold中将がエネルギー兵器について語った部分をご紹介します
F-35エンジン改修版は遅くとも年内に
●国防省F-35計画室長Bogdan中将は、「(6月に火災を起こしたエンジンの改修版を)今年の年末までに、少なくともプロトタイプを手にしたい」、「プロトタイプが機能すれば、そのエンジンをF-35に投入したい」と語った
●6月の火災の原因については、今月末までに明らかにすることになっているが、現時点で明らかになっていない
●F-35に関しこれまで問題になっていたHMDや空母着艦用フック等については、解決されたか、解決の道筋が示されている。
●一方で、エンジン、ALIS(兵站支援システム)、シミュレーター、mission data filesで新たな問題が発生している
●上記のような問題はあるが、Bogdan中将がより懸念しているのはソフト開発であり、また強制削減の影響を受ける予算問題である。
●2016年度予算に強制削減が再び降りかかる事を考えれば、現計画の調達数増加が可能かが懸念である
次期爆撃機(LRS-B)について
●米空軍の調達担当Pawlikowski中将はLRS-Bについて、来年の春か夏には企業選定を終えたいと述べた。
●同中将は「過去数年の間に、空軍は成熟して利用可能な技術を見極め、要求性能を煮詰めてきた。来年には契約企業を決定し、製造を開始し、試験に進みたい」と語った
●次期爆撃機(LRS-B)についてはこれまで、2020年代半ばに運用を開始し、80~100機を調達し、1機当たりの価格が550億円程度で、有人と無人の両タイプがあり、核任務のオプションもあり、強固に防御された空域を突破して任務を完遂できると明らかにされているが、同中将も要求の細部については明らかにしなかった
●それでも同中将は「長射程の兵器を組み合わせて世界中での活動が期待され、現存の兵器だけでなく、開発されつつある未来の兵器も搭載可能なように考えている」と語った
●更に、技術の進歩を踏まえ、より処理速度の速いプロセッサーやセンサーを用い、ステルス機でさえより遠方で発見できる高度な防空網を突破して困難な目標を攻撃可能なモノを目指しているとも語った
周辺被害を局限するエネルギー兵器を
●米空軍特殊作戦コマンドのHeithold中将は、可能な限り早急に導入したいと語った
●同中将は、1989年のパナマ作戦(Operation Just Cause)を例に、AC-130の20mm機関砲で周辺住民に大きな被害をもたらした作戦を反省し、当時から爆弾やミサイルを使用すること無しに、相手の通信や発電施設を無効化する手段を求めていたと語った
●「当時もエネルギー兵器を要望したが、その時代には20mm機関砲の代替になるエネルギー兵器装置は、小さな会議室1個分の大きさがあった」と振り返った
●同中将は「技術は成熟しつつあると最近のこの総会で感じている。具体的な時程は決めていないが、可能ならば2017年度予算で要求したい」と語った
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F-35に関しては、全く見通しが立っていないとの印象です。またエンジン問題に隠れていますが、ソフト開発、ALIS(兵站支援システム)、シミュレーター、mission data filesでまだまだ課題が山積な様子が覗えます
LRS-Bに関しては、ステルス技術の将来が危ういことを米空軍も感じ取っている様子が覗えます。米海軍はこの点を強調してF-35からの逃避を狙っていますが、ステルスにだけにすがっている日本のような購入国には「ショックな」話でしょう
特殊作戦コマンドが求めるエネルギー兵器は、簡易EMP兵器のイメージのようです。レーザーだけでなく、この分野にも日本は注目すべきでしょう。