米空軍は考え方を曲げない:A-10全廃を

WelshSen.jpg米空軍は今後も継続するであろう「強制削減」等の厳しい予算状況に対応するため、単一機能しかなく代替機種が存在するA-10全廃を2015年度予算に提案していますが、議会からの反発にあって成立が難しい状況です。
14日付Defense-Newsは、もし議会が許さなかったら2016年度予算案ではどうする? との視点で空軍参謀総長等の意見を聞いています。結論は来年も追及する・・・です。
14日付Defense-News記事によれば
A-10ship.jpg今年3月、米空軍がこの厳しい選択を含む予算案を発表した際、強制削減を見据えた現実的な予算案だとの見方が多かった
しかし米空軍の予算案は議会の強力な壁に直面した。A-10全廃にしても、U-2偵察機全廃にしても、ほとんど議会の支持を得られていない
●予算案に関して一度成立しなかった案をもう一度押すことについて、必ずしも良い結果は得られないと懸念する空軍幹部がいる一方で、8月のインタビューでWelsh空軍参謀総長は「米空軍のこれまでの分析結果を尊重すべきだ」と語った
●参謀総長は「昨年正しい答えだったものは、恐らく来年も正しい答えだろう」、「毎年答えを変えていたら、毎年異なる人達から反対を受けることになるだけ」と続けた
●更に「軍サイドの見方はまっすぐで、軍事分析もクリアーだ。我々はこの分析結果を共有しているし、継続して誰とも共有して行きたいと思う」、「軍サイドの回答としてその正しさには疑問の余地は無い。もしだめだというなら、代替案を示すべきだ。そうすれば前進できる」と言い切った
Eaglen.jpgAEIマッケンジーの研究員は米空軍が軽々に方針を変更すべきでないと主張している。彼女は「これまでグローバルホークよりU-2偵察機が良いと主張していた米空軍が、突然逆を言い出したようなことは変節は悲劇だし災害だ」と訴えた
●更に同研究員は「米空軍指導部は議会に対し、自分たちの決心とその背景にある分析への信頼感を取り戻さなければならない」、「昨年の決断を追い続けることに意味がある」、「政治的に言えば、空軍は二度と変節出来ない」と述べた
●2016年度予算案は2015年度のコピーではありえない。強制削減が撤廃されないなら、F-35やKC-46A調達数も少数ながら削減しなければならない。またMQ-9無人機や特殊作戦機MC-130Jも削減されるだろう
最も議論を呼びそうなのがKC-10空中給油機の全廃案だ。
●種々の反対が予想されるが、Welsh参謀総長は先制攻撃でこう述べた、「いろんな人が色々意見を述べるだろうが、だから米空軍はどうすべきかについて最適のアイディアを軍として示すのだ」と。
●更に「議会には最終決定をする権限がある。米軍は議会の考えに基づいて修正をする。しかし米軍がベストだと考える案を拒否するなら、どうすべきかを示すべきである」と訴えた
A-10全廃不可なれば何を削減?
U-2 22.jpg●米空軍高官は、F-15やF-16の削減を示唆している。A-10全廃が議会で受け入れられないなら、350~400機のF-15やF-16を削減しなければならないだろうと予言している
A-10全廃により4200億円の予算削減を見積もっていたが、それが許されないなら更にB-1削減にも手をつける必要があるとも付け加えた
●いずれにしても、米空軍の予算編成担当者たちは、強制削減がある場合と無い場合の両方のケースの予算編成に取り組み、その過程では2015年度予算案の編成の考え方を踏襲する。
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Welsh4.jpg以前にもご紹介しましたが、Mark Welsh空軍参謀総長はA-10の操縦者でした
自身が最初に操縦した機種を全廃するという苦しい決断を下し、その決断を貫こうとしています。そこには空軍としての信念があります
一方、何処かの組織では「空気を読め」とか「風を読め」とかいう言葉が流行りだそうです。信念なく、決断もなく、改革なき組織は内側から腐っていくのでしょう・・・

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