5日、米国防省のDARPA(国防高等研究計画庁)は企業や研究機関に向けに説明会を開催し、脅威に対応した「装甲が軽易にして軽量」で「機敏さで脅威を回避」するようなイメージの兵員輸送装甲車両開発のための情報や提案を求めました。
説明会では、DARPAの想定する兵員輸送装甲車両(GXV-T:Ground X-Vehicle Technologies)のイメージ映像も公開され、注目を集めたようです。
次世代の兵員輸送装甲車両(GXV-T)の方向性
●これまでの装甲車両は、敵の火砲やミサイルの破壊力や貫通力が増すのに応じ、装甲を厚くして防御を強化してきた。その結果、最新の装甲輸送車両MRAPでは兵員の致死率は6%、M-1戦車で15%、Humveeの装甲強化型で22%となっている
●しかし、攻撃力と防御力の競争は攻撃側に有利な技術状況にあり、今後も攻撃力の進歩度合いが防御側を上回ると考えられる。
●また、装甲の強化により車両の重量が増加しつづけ、最新のMRAPでは一両が24トンにもなるに至っている。このため装甲車両の輸送が非常に負担となり、使用可能な道路も制限され、維持負担も大きく、価格も高騰する傾向にある
●そこで米陸軍と海兵隊は、乗員と車両の生存性を確保するための考え方を根本的に革新し、次世代の装甲戦闘車両を求めることとした。
●技術情報の提供要望は、2年間の研究開発期間で実現可能なアイディアで、広範な作戦用車両への応用が可能なものを希望している
イメージ映像が示す車両の特徴
●敵の砲弾やミサイルを探知し、「盾」を繰り出す
●敵の砲弾やミサイルを探知し、車両を停止や加速してよける
●敵の砲弾やミサイルを探知し、車両を上下させてよける
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「攻撃力と防御力の競争は攻撃側に有利な技術状況」で「攻撃力の進歩度合いが防御側を上回る」のは、装甲車両に限ったことではなく、全ての軍事分野に当てはまります
また、防御は攻撃側に比べ、格段にコストが高い点も見逃せません。
わが国にも「専守防衛」を見直す議論が必要ですし、極めて脆弱な攻撃力で、極めて高価な防御力である制空戦闘機への投資見直しも喫緊の課題です