イラクのダム死守と米軍F-16D半分飛行停止

全く関係のない2つの話題ですが、話題夏枯れの中で、今後の動向が気になるのでご紹介します
モスルのダムを何とか死守
F-18.jpg●米国防省報道官によれば、イラク北部のモスルにある重要なダムをイスラム過激派組織(ISIL)から奪還するため、米軍機が過去3日間で35回に及ぶ航空攻撃を実施し、成果を上げている。米軍は海軍と空軍の戦闘爆撃機、爆撃機及び無人機で攻撃を行った
●カービィー報道官(海軍少将)は「米軍機がISILの車両、装備、陣地等、90以上の目標を破壊し、イラク軍がダム施設から過激派を排除して勢力範囲を拡大しつつある」との声明文を発表した
ダムは老朽化しており、過激派が必要な管理を行っていないことから懸念が増しており、奪還作戦が急がれていた。またISILがダムを破壊し、下流域に洪水を発生させる恐れも真剣に懸念されていた
●一方、米軍の航空攻撃によりISILの攻勢を一時的に阻止したが、長期的にその状況を維持できるのかは不透明である
82機の米空軍F-16Dが飛行停止
F-16D ground.jpg●19日、米空軍は157機保有するF-16Dの中で、82機を飛行停止にした。他の75機は飛行再開を許可された。当該機首のキャノピーに亀裂が発見されたためである
米空軍はF-16の他のタイプを812機保有しているが、今回の飛行停止の対象外となっている。米空軍とLockheed Martinが調査を進めている
F-16は最近生産開始から40周年を迎えたばかりだが、初期型の能力向上事業は世界中で安定した需要がある
●一方で米空軍は機体疲労が蓄積して老朽化が進むF-16の状態を懸念しており、延命施策(SLEP)とアビオ能力向上等(CAPES)の両方の実施を希望していた。
●しかし、予算の関係で延命施策のみを実施する2015年度予算案を提出している
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アルカイダがアフガンで世界的な仏教遺跡を爆破した映像が当時世界を驚かせましたが、「ダム」の破壊となれば、その影響等から「核兵器使用」に近いインパクトがあるような気がします。
Haas.jpg「アラブの春」以降の中東情勢を、CFRのリチャード・ハース会長は「30年戦争(1618年から1648年)とぞっとするような類似点が多い」と表現しています(読売新聞17日朝刊一面)。
ご興味のある方は、新聞でご確認下さい
「外部から出来ることは限られている」、「欧米の政策立案者は、自らの限界を認識すべきである」、「当事者達が消耗しきるまで、問題の解決はない」との表現が並ぶ何とも陰鬱な情勢分析ですが、対応としては根本解決ではなく「状況の制御」や「事態の悪化阻止」を目指すべきとの提案は現実的な感じがします
例えば、シリアでは「アサド政権が続くことを当分認めよ」との主張です
そう言えばルトワックは、仮に30年戦争当時の欧州でPKOや人道支援団体が活動していたら、現代の欧州は難民キャンプだらけだろう・・と皮肉を込めて表現しています。冷徹な人間社会の分析でしょう。

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