17日、米国防省報道官のSteven Warren陸軍大佐が会見で、10月に実施予定の米豪歩兵部隊の演習に中国軍も参加すると発表しました
中国地上部隊がこの種の演習に参加するのは、初めてのことだそうです
17日付米国防省web記事によれば
●国防省関係者は、当該共同演習は豪州北部で計画される小規模な演習であるが、米国と豪州による中国軍との関係強化の試みに、更なる一歩が刻まれることになる、と評価している
●Warren報道官は「演習自体は非常に小規模で、100名以下の規模になろう。米海兵隊の1~2個チームがその中に含まれる」、「演習の目的は、人里離れた荒野で如何にサバイバルするかを学ぶことにある」と説明した
●10月に予定される本演習に参加する米海兵隊部隊は、豪北部のダーウィンにローテーション派遣されている海兵隊部隊になるだろう。
●なお、同地に派遣されている米海兵隊は現在1100名程度だが、2017年までには2500人規模に拡大される予定である
●米国は中国による南シナ海での「destabilizing」を非難しており、豪州もこの中国非難を支持している
●米国防省は、10月予定の共同演習が参加国間の国防関係を強化し、潜在的な緊張や誤解を緩和させることを狙いとしている
●なお、中国軍は現在、米国が主導する世界最大規模の海洋演習RIMPAC(ハワイ周辺:6月26日から8月1日の間)に初参加している。
ご参考:今年のRIMPAC
●今回は計22ヶ国、水上艦艇49隻、潜水艦6隻、航空機200機以上、兵員約2.5万人が参加
●参加国は(見やすいように地域別に3区分)
—米、英、豪、NZ、カナダ、仏、オランダ、ノルウェー、
—日、韓、比、インドネシア、マレーシア、シンガポール、中国、ブルネイ
—インド、トンガ、チリ、コロンビア、ペルー、メキシコ
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米国防省も米軍関係者も、中国国防省や中国軍との対話や共同訓練が、東&南シナ海での領有権紛争を解決するとは「もはや」考えていないでしょう。
中国側は、好き放題やった場合の米国や周辺国の対応や、世界世論の反応がつかめたでしょう。
中国政府と中国軍の力関係については種々議論があるようですが、ベトナム当局との衝突を生んでいた南シナ海での「掘削作業」を突然終了した当たりは、中国経済の減速感ありありの中、世界の風を見る気分になってきたのかな・・・とも思います
そんな中、米国防省も米軍関係者も、中国国防省や中国軍との対話や共同訓練が、何らかの「意思疎通手段」として存在することが重要だと考えているのでしょう。
冷戦最盛期の米ソ間でも、誰も期待していなかった戦略兵器交渉が、ソ連の様子を探る貴重な機会であり、こちらの考え方や能力(ソ連状況の把握能力)を示す有効な機会だったとゲーツ国防長官(当時)が良く語っていました。