最近その深みのある発言をしばしば取り上げている米空軍ISR部長Otto中将ですが、Mitchell Instituteでの講演(9日:)の続きをご紹介します。
今日ご紹介するのは、情報機関が見失いがちな「何のために仕事してるの?」との素朴な命題に立ち返り、予算削減対応にも繋げようとの視点です
現場の情報要求を重視する原則はあれど、なんとなく膨れ上がる情報要求の本質を見極める作業や、組織活動や資源配分の有効性確認が必要では・・と訴えています。
講演の資料源が「細切れ」で分かりにくく恐縮ですが、組織で働いたある方ならば感じていただけるであろうOtto中将の「もどかさ」を察していただければ・・・と思います。
残存性の低いISRアセットが多すぎる
●無人機によるISR用空中哨戒(CAP)数を見直すべきである。
●2006年当時、イラク戦争が佳境にあり、アフガンでも戦いを続けていた時だが、11個のISR無人機CAPを実施可能で、情報要求の54%を満たすことが出来た
●2014年の今現在、米空軍は65個のISR無人機CAPを実施(72個まで可能)しているが、情報要求の21%しか満たせていない。前線で戦っている兵士が2006年当時より少なく、イラク戦線が無いのにである。
●この辻褄の合わない現状・状況を考えねばならない。私が指摘したいのはこの点である。仮に150個のCAPを行っても、能力不足に直面しているのではないか?
●敵の防御網を考慮していないアセットに過剰投資している。アジア太平洋リバランスに当たり、米空軍は投資分配のバランスを再考すべきである
ISR任務の成果&効果分析に不満
●米空軍は「effect versus performance」把握に関し改善を要する。最近アフガンで米空軍の状況を見たが、少し落胆した。ISR作戦の効果把握の手段・尺度を確立する必要がある
●仮に作戦の効果が把握できなければ、装備や人員等が十分かも判断できないではないか。
●米空軍の情報分析のやり方も修正が必要だ。今は、様々なタイプの情報ソース、画像、電波信号、人的情報等々を分析組織に投入し、報告書を書かせ、多様な情報を集約している
●プロセスを逆にし、まず情報要求を明確にすることを一番にすべきである。その後に様々な手法でニーズに対応した情報を収集すべきである。
●この手法は、より「all-source analysts」への要求を呼び起こし、多様なタイプの情報ソースに意味や価値を持たせる事になる。これを通じ個々の情報活動の効果を把握でき、次の改善の資となる
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ISR部長が「アジア太平洋リバランス」を気に掛けてくれるのは嬉しいのですが、最近のイラク情勢を見るに、まだまだISRアセットの中東配備を緩めることは難しそうです
そしてそれは、「残存性の低いISRアセットへの過剰投資」からの離脱をより難しくするのでしょう・・・
911大規模テロに端を発し、2代目ブッシュのイラク戦争決断に始まる米国の中東関与ですが、Otto中将の目にはどのように映っているのでしょうか・・
ネオコンに乗せられた2代目ブッシュの責任は、もっと追及されて当然だと思うのですが。オバマ大統領も、退任後は「共和党政権の負の遺産」を大いに訴えるのでしょうが