米軍特殊部隊の今後の焦点は?

Lumpkin.jpg米国防省の特殊作戦・低列度紛争担当のMichael Lumpkin次官補が、「Military.com」のインタビューを受け、アフガン作戦後の米軍特殊部隊の重点地域について語っています。
引き続き「アルカイダ:Al Qaeda」が焦点ですが、「metastasize:ガンが転移する」との言葉を用いて、アフリカ、シリア、イラク等に組織が拡散転移する様子が覗えます
対中国や北朝鮮に焦点が当たり、日本では忘れがちな話題ですが、「忘れた頃にやってくる」のがこの種の脅威ですので、短い記事ですがご紹介します
9日付DODBuzz記事によれば・・・
SOF2.jpg●Lumpkin次官補は、アフガン戦争が収まりつつある中で、アルカイダが安住の地が確保出来る場所を探し求めていると語り、これに対応するための特殊部隊の再編でアジア太平洋地域の米軍特殊部隊は小規模になるだろうと語った
戦力シフトの行き先には、「global hot spots」であるアフリカ、シリア、イラク、アラビア半島等が含まれる
●同次官補は「アルカイダの患部は転移している。これまでとは異なった地域コマンドから、特殊部隊への要請が届いていることがこれを表している」、「アルカイダとその勢力範囲は、アフリカ、シリア、イラクなどを経由して世界中に拡大している」と述べ
●更に「米国への最大の脅威であろうAQAP (Al Qaeda Arabian Peninsula:アラビア半島のアルカイダ)は、勢力を拡大している」と警戒感を示した
●また同次官補は「我々はアルカイダが、政府が弱体だったり、侵入が可能で有れば所構わず根を張る様子を目撃してきた」、「米軍特殊コマンドの中核任務は、治安の真空地帯を減らし、アルカイダに適した地域を削減する事である」と語った
同次官補は特殊部隊の任務等について
SOF3.jpg●特殊部隊はその本来の任務、つまりパートナー国の軍隊を訓練してその能力を高める事に戻ろうとしている。そうすることで、米軍特殊部隊が直接任務を実行する危険やコストを削減できる。
●過去13年間に米軍特殊部隊が行ってきたことを振り返り、また2001年時点の米軍特殊部隊と比較すると、現在の規模は予算に比して大きすぎる。作戦投入頻度も高くなりすぎている
●アルカイダ等の過激分子に焦点を当てているが、米軍の他部隊と共にアジア太平洋リバランスもフォローしている。太平洋地域には小規模な特殊部隊しか残存しないかもしれないが、米軍特殊部隊がアジア太平洋から去ることはない
●特殊部隊は歴史的に太平洋軍地域でプレゼンスを維持しており、この地を去ることはない
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特殊作戦部隊SOFは、米軍の中でも重視分野で、予算面でそれなりの配慮を受けているはずです
SOF.jpgそれでも国防予算が強制削減される中、またイラク&アフガンで傷ついた米軍と米国民感情を癒すため、Lumpkin次官補は「米軍特殊部隊が直接任務を実行する危険やコストを削減」することを「ノルマ」として課しているのでしょう。
しかし、ロシアや中国が今そうであるように、アルカイダも「洞窟」の中で米国の様子を詳細に観察し、チャンスがあれば縄張りを増やそうと「固守淡々」と狙っているのでしょう。
ロバート・ゲーツ語録100選より
(100選は→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19)
●私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワー
歴史が教えてくれるとしたら、それはいつの世にも悪があり、侵攻や抑圧や富・欲望・権力のために他の人類の自由を犠牲にする輩が存在することである
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1

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