26日付Defense-Tech記事は、これまで本ブログで米海軍の航空作戦構想だとご紹介してきたNIFC-CA(Naval Integrated Fire Control – Counter Air)構想を米艦艇にも拡大し、艦艇発射のミサイルで艦艇レーダー見通し外の目標対処も行う計画を紹介しています
「Baseline 9」とのイージス艦のミサイル防衛システムがこの能力を付与されるようで、昨年夏の試験を踏まえ、より高度な試験が計画されているようです。
26日付Defense-Tech記事は
●ロッキード社の担当責任者は、米海軍は艦艇のレーダーが探知していない巡航ミサイルを発見・破壊する準備を進めていると語った
●米海軍が持つ航空アセットのセンサー情報を融合して経空脅威に対処する構想NIFC-CAに、米艦艇のSM6(Standard Missile 6)を組み合わせ、現在よりも射程を延伸する構想である
●昨年8月、ミサイル巡洋艦Chancellorsville(CG62)で試験に成功しているが、今度は駆逐艦クラスのDDG53- John Paul Jonesで6月に実施する予定となっている。6月の試験では、前回より更に困難な環境下でのテストを予定している
●SM6ミサイルは、AIM-120空対空ミサイルのように自立的シーカーを備えて「打ちっぱなし」が可能で、これにNIFC-CA構想を組み合わせると、邀撃ミサイルの能力を最大限に発揮させることが出来る
●NIFC-CAは、現在進められているイージスシステムの能力向上「Baseline 9」に組み込まれ、現在建造中のDDG 113からDDG 118に搭載が行われている。「Baseline 9」は、多様な装備が共通使用しているソースコードを使用しており、必要な機能や応用が可能になっている。
●米軍のアジア太平洋回帰は、敵の長射程の対艦巡航ミサイル等の脅威を活用したA2ADに如何に対処するかの掛かっているが、NIFC-CAは米海軍にこれら脅威に対処する新しい技術を提供するものである。
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NIFC-CAの情報ネットワークを活用し、撃ちっぱなし可能なSM6の能力を最大限に活用する発想は結構なことです。
この能力を活用し、米空母打撃部隊が「いざ鎌倉」の際に、少なくとも第一列島線付近にまで進出可能となれば良いと思います。
一方、このNIFC-CAで気になるのは、まず米空軍との連携や刷り合わせが全く行われていない点、もう一つは異常に航続距離の限られた有人機(FA-18E/F、EA-18G、F-35C、E-2D)に依存している点です
米空軍は対A2AD突破やISRや攻撃を「family of sysytem」で行うと言っていますが、これらのアセットと海軍の鍵となるEA-18Gとのリンク連接が不十分な点など、海軍関係者から空軍との連携に関しなんら言及がありません
空軍関係者はNIFC-CAについて、「米空軍と何の協議や協力に関する観点が無く、エアシーバトルとの関連についても言及が無いことを懸念」と表明しています
またUCLASS要求性能原案に示されたように、真に新しい革新に目を背けた、海軍航空関係者の「組織防衛」的な発想が伺えるのも残念です
米海軍の航空作戦構想
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「UCLASSの要求性能原案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24