CSISルトワック氏が日本に助言

Luttwak.jpg14日付読売新聞4面の特集記事「日本への提言」に、CSISの大御所エドワード・ルトワック(Edward Luttwak)が登場し、中国や韓国との関係について日本に助言しています。
同特集記事には、昨日ご紹介したCSBA副理事長(15日)や米国防大学のハメス研究員(16日・オフショア・コントロールの提唱者)が登場していますが、特集の第一回目に登場したのが世界を代表する戦略家ルトワック氏です
「CSBA副理事長がASB最新状況を解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
まず、まんぐーすの希望を叶えて頂いたような豪華メンバーを取り上げた読売新聞の構想・企画力に、最上級の賛辞を送りたいと思います!!!
この素晴らしい特集を企画されたのは、新しい北米支局長(?)の飯塚恵子さんでしょうか? いずれにしても世界のメディアに誇れる企画です! 紙面のみの企画なので、概要をご紹介したいと思います
中国の現状をどう見るか
Luttwak3.jpg中国の指導者は、内部からの圧力にさらされている人民は共産党支配に非常に大きな怒りを抱き、中国軍は反日だけで満足せず、特に海軍は米軍を敵として必要としている
●また更に、中国は効力を無くした共産主義に変わる新しいイデオロギーを必要としている。習近平は「中国の夢」を提唱しているが、最も重要な政治的要素は、中国の力を世界中で行使するという民族意識だ
●中国の振る舞いは、外部から大きな反発を生んでいるが、中国指導部は内部圧力に伴う内向き姿勢のため、外部からのメッセージを受け止めることが出来ない
●結果、かつて中国に近かったミャンマーは、今や中国を離れた。フィリピンやインドや日本などで、似たような反発が起こっている
●中国の政治システムは、生き物が酸素を求めるように日本への敵意を必要としている。仮に日本が尖閣を土産に差し出しても、即座に中国は沖縄を持ち出し「実は琉球がほしいのです」と言うだろう
尖閣を巡る緊張を和らげることは出来ない。日本は抑止力を強めること。尖閣に20名でも守備隊を配置し、攻撃的でなく諦めない意志を示す事。平和を求めるならば、積極的に戦争を避けなければならない。もし日本が戦う姿勢を示さなければ、中国は益々圧力を強めるでしょう
●抑止力強化と同時にやるべき事は、比、印、ベトナム等、中国の脅威に直面する国々を支援し、軍事も含む連携を深めること。日露の長期的な協力も、対中牽制になると見ている
韓国との関係をどうするか
Luttwak2.jpg日本は韓国を自らの戦略に組み込むことは出来ないと思う。韓国は中国を文化面で深く尊敬し、中国が韓国に好意的だと常に考えている。一方で、日本には憎しみを抱いている
●朴大統領が中国に安重根記念碑のハルピン設置を提案したのも、感情や非理性的な憎しみからきたものです。憎しみの原因は、韓国が日本の植民地支配と戦わなかったからだろう。だから戦った安重根を顕彰する
韓国の日本に対する態度は、日本が何をしようと関係有りません。慰安婦問題では、日本が韓国の反応を期待して何かやっても、成果はないでしょう
日本の政策は、韓国以外の世界の反応をもとに検討されるべきでしょう
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中国分析における、「内部からの圧力」、「外部メッセージを受け入れられない」、「中国海軍は米軍を敵として必要としている」、「日本は諦めない意志を示す事」等々の見解は、中国の歴史を読み解くことで得られたルトワック氏の分析です
Luttwak4.jpgルトワックの近著「自滅する中国」(奥山真司監訳)を読まれた方には、お馴染みの論理展開かもしれません。
同時に同書の読者の方は、もっと歴史的背景や分析の過程を日本人にも紹介したい、との思いを持たれたことでしょう。ルトワック氏の主張に興味を持たれた方は、今すぐ書店で「自滅する中国」をお求め下さい!
同様に韓国について、「憎しみの原因は、韓国が日本の植民地支配と戦わなかったから」と分析していますが、この見方の背景には、上記書籍の韓国部分にある「見返りを求めない施しは、受け取り側の屈辱感に容易に変化しうる」との冷徹な人間観や歴史観があります。
つまり、日本の統治が韓国王朝より素晴らしかったため、韓国人は日本の支配と戦わなかったが、それが今になって逆恨みを招いているという見方です。なるほど納得の分析です

ルトワック関連の記事
「防研60周年行事でF-35批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-31-1
「Andrew Marshallの弟子」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16
読売の「日本への提言」シリーズ
「CSBA副理事長がASB最新状況を解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
なお、「自滅する中国」はAndrew Marshallに勧められて書いたのだとか・・・
読売「日本への提言」シリーズ
「CSBAがエアシーバトル最新状況を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
「ヨシハラ教授:日本もA2AD戦略を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-19

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