7日、ウェルシュ空軍参謀総長が他軍種トップと共に上院軍事委員会で証言し、予算強制削減の影響を訴え、議会に対応を求めました。
これまでも細切れにお伝えしてきた軍サイドからの要望ですが、一度復習したいと思います。
軍は現在の即応体制と将来の戦える戦力のバランスを追求したいと主張していますが、シンクタンク等の外部専門家からは、どうしても現役は近い将来を優先しがちだから、将来の投資により多くを向けさせる必要があるとの意見が多いように思います
空軍トップの証言テキストより
●強制削減が求めるような性急で無差別な一律横断的な削減では、国家安全保障のリスクを高めるだけで有効な対策も取れない。「ready force today」と「modern force tomorrow」選択のジレンマに適切に対応できない
●10年間でトータルの削減額確保する柔軟性を認めるべき。軍に削減分野の柔軟性を与え、削減タイミングも前半は少なく後半で削減額を増やす方式が安全保障上のリスクを低減する
●議会の厳しい選択への支援を得て、軍人給与、福利厚生、医療費、退役軍人手当等の「military compensation」上昇を抑えないと、戦力組成も即応性も近代化も犠牲になってしまう
●SCMR検討の結果として、航空機を削減の際は該当機種を後方支援施設等を含めて「全廃」しないと経費節減効果が不十分となる。またアセットの削減にあわせ、基地の統廃合や人員の集積を進めないと経費削減効果は薄い。
●仮に2014年度も削減レベルが継続すれば、飛行時間は多くの部隊で15%削減せざるを得ず、結果として多くの部隊で4ヶ月間程度は必要な飛行時間を確保できなくなる。そしてRed-Flag等の大規模演習は中止か大幅縮小を余儀なくされる
●宇宙アセットへの影響も大きい。このままでは、これまで確保できたアセットの重複を維持できず、アセットの故障や被害時に宇宙状況掌握や作戦遂行に影響が出る
●5年間で見ると、強制削減により全体の5%に当たる2万5千人を削減し、航空機を9%の550機を破棄する必要に迫られる
●2014年度予算案はこれらを踏まえたスタートが切れる案となっている。一層の戦力削減が必要だが上記で述べた柔軟性を認めてもらえれば、また議会の支援を得て効率化の追求と「military compensation」経費の抑制等を併せて実施することで、国家財政の危機対処への貢献は十分可能である
ご参考:4軍種トップの証言(国防省web記事)
→http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=121077
調達担当ケンドール国防次官の証言
→http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=121076
//////////////////////////////////////////////////////
議会の機能不全や議員の選挙区への利益誘導のため、基地の統廃合や特定機種全廃が遂行できないと訴えています。また、同様に大きな政治判断が必要な「military compensation」改革について、改めて議会の理解と支援を求めています。
相変わらずF-35死守の姿勢は崩しておらず、また体制維持と将来投資のバランスへの言及も不明確な印象です。この辺りが外部専門家をして、「どうしても現役は近い将来を優先しがちだから、将来の投資により多くを向けさせる必要がある」との懸念を生起させる理由です
しかし、強制削減の回避は困難との見方が日に日に浸透しつつあります
「military compensationについて」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06