「今後2~3年でアフリカ市場は南東アジアや中東と同規模となろう」
17日付Defense-News記事が、今後10年で急速に市場拡大が予想されるアフリカ大陸の「武器市場」を巡り、欧米の企業が「つばぜり合い」を始めている様子を伝えています
欧米の経済成長が頭打ちで中国にも減速感が見える中、東南アジアやアフリカ諸国の経済成長に注目が集まっているところですが、豊かになれば国の守りを固めたいと考えるのは自然な流れです。
ましてや、民族の分布よりも、植民地時代の欧州諸国の都合で引かれた国境線を持つアフリカ諸国政府にとり、治安上の心配の種は尽きないはず。
最近の「アラブの春」崩れの動きや過激派の流入や台頭、天然資源を巡る国家間の対立等々・・・軍隊のみならず警察や治安機関の必要性は高まる一方のようです
アフリカ市場に詳しいジンバブエの専門家は
(退役大佐Joseph Sibanda氏)
●アフリカ市場の急進は始まったばかりであり、今後10年間は続くだろう。2兆円市場といわれるアフリカ市場を狙い、アフリカ外の企業が製品の売り込み、共同事業立ち上げ、技術移転や生産工場設立の合意取り付けに動いている
●対テロ活動やイスラム過激派対処を強化したいと考えるアフリカ諸国は、東部、西部、北部アフリカ地域に広がっており、強力な武器、近代化された軍、最新の装甲車両や防御装備への需要が増加している
●南アフリカの企業がこれまでのアフリカ大陸での業務実績を生かし、スイス、米国、ロシア、ブラジル、マレーシア、仏国の軍需産業と装備使用者の仲介役として存在感を示している
●一方で北アフリカに実績のある企業は、南アフリカ企業と手を組んで北アフリカ市場への進出をもくろんでいる。
●航空機分野では、アフリカで需要の多いヘリコプターの販売からメンテナンス事業全体への関心が高まっている。例えばEurocopterはケニアや南部アフリカで約250機のヘリを販売しているが、その定期整備を南アフリカ企業と合弁で実施する契約を結んだばかりである。
●最近話題になったのは、トルコの軍用車両企業Otokarが軽装甲車両のアフリカ売出しに勢力的な一方で、南アの企業Ospreaがケニアに車両製造工場を設け、スーダンやソマリアでの国連やアフリカ連合の活動を視野に入れた投資を行った話である
●セルビアの企業がケニア国防省に装甲車両の契約を行った話も注目された。またUAEに拠点を置くTawazun Holdingsが北アフリカ市場を狙ってアルジェリアに工場を設けた話もあった。
●今後2~3年でアフリカ市場は南東アジアや中東と同規模となろう。航空機、装甲車両、最新の大砲等が需要の多い装備であり、アフリカ諸国の軍や治安機関が新たな脅威に対処する必要に迫られていることが背景にある
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土地勘が無いため、典型的な「つまみ食い」説明になってしまいましたが、世界各国の軍需産業がアフリカを目指している様子を断片的にでもご覧いただけたかと思います
もちろん様々な側面でリスクは高く、苦労して、危険を犯して進行中の戦いの当事者に装備を提供する「死の商人」となるわけです。
普通の日本人の感覚では付いていけませんが、欧米の皆様にとっては「いつか来た道」なのでしょう・・・。
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