オバマ政権のアジア太平洋担当は?

Tatsumi1.JPG14日付Wedgeサイトに掲載された辰巳由紀さんの論考中東とアジア太平洋の間で揺れるオバマ政権の外交・安全保障政策」をご紹介します!
このところ、第2次オバマ政権がアジアに関心を失い、米国のアジア政策が「漂流」との断片的情報をご紹介してきましたが、ここはワシントンDCに根を張る専門家(スティムソン・センター主任研究員)のご意見を伺います。
オバマ政権のアジア太平洋担当は誰が?
●第2期オバマ政権が発足してから半年が経過し、オバマ政権の外交・安全保障政策の優先課題が見えてきた。端的に言えば、第二期オバマ政権の外交・安保政策は「長期的にはアジア太平洋回帰を維持したいと思いつつ、短期的にはより事態が切迫している中東情勢にかなりのエネルギーを振り向けざるを得ず、そのバランスをどう取って行くのかに悩む」ものになるのだろう
Biden-china.jpg●オバマ政権は「アジア太平洋回帰」について「政府全体の取り組みだ」「軍事的要素は一部に過ぎない」「主力はむしろ経済や外交などにある」と強く打ち出すようになった。しかし、国務省では、長く膠着状態だったイスラエル・パレスチナ間の中東和平交渉に再開の道筋が見えてきて、ケリー国務長官が力を入れたいのは中東問題であることがすぐに明らかになった。
実際問題として、中東和平だけでなく、流動化するエジプト・シリア情勢、イランでの新指導部発足など、大きな変化を予感させる動きが続き、オバマ政権が短期的には中東に関心を向けざるを得ない状態にある
●この点、7月22日から6日間のバイデン副大統領によるインドとシンガポール訪問は重要な意味を持つ。つまり、閣僚レベルでは「中東は基本的にケリー国務長官、アジア太平洋はホワイトハウス」という主導権の分業体制が、ある程度はっきりしたということだ。
バイデン副大統領は、これまでも、国内問題中心のオバマ大統領に代わり、外交安保政策の代弁をしてきた。特にアジア政策においては、第1期政権の際も、「中国を含むアジアに米国が関与する時、日本を素通りしては成り立たない」との趣旨の演説を行い、中国関与政策が同盟軽視ではないとのメッセージを送った実績がある。
●今年の秋にはバイデン副大統領が日本及び中国を訪問する予定もあるという。
実務担当の中堅ポストは空席のまま
Lippert_Obama.jpg●しかし中堅幹部ポスト、特にアジア太平洋政策にとってカギとなるポストに変更や空席が続くポストがあることは、今後の日米関係を考えると懸念材料だろう
●特に、日米安保においては、これから数年間は米側のQDRと日本側の防衛大綱見直しの際の関心事項のすり合わせ、日米防衛協力の指針の見直し、沖縄の米軍再編など懸案が目白押しだ。
●しかし、国防省の中核として各軍や国務省と調整に当たるアジア太平洋担当国防次官補のポストは、マーク・リパート前国防次官補(Mark W. Lippert)がヘーゲル国防長官首席補佐官に就任して以降空席で、後任が指名される気配はない。
オバマ大統領と今でも一緒にバスケットを楽しむといわれるリパート前国防次官補の政治力は大きく、その政治力があったからこそ可能だったといわれる案件処理も多かったのだ
●国務省ではカート・キャンベル氏の後任として外交官出身のダニエル・ラッセル氏が東アジア担当国務次官補に就任したが NSC出身のラッセル氏は「外様」で、ケリー長官とどのような関係を築くかは未知の部分が多い
●日米安保の協議が難しい局面を迎えれば迎えるほど、一定の政治力を持つ中堅幹部の人間の存在が必要になるのだ。当面、そのような政治力を持つ幹部の出現がとりあえず期待できない以上、事務レベルでの緊密な協議を維持することが重要になるだろう。
/////////////////////////////////////////////////////////////////
Waterdrop.jpgこれまで、ゲーツ元国防長官が警戒していたとの理由だけで「謎の怪人」とお伝えしてきたマーク・リパート氏ですが、日本にとっては「有難い人材」だったんですね!
狭い知識と印象だけで人を判断してはいけません(反省)。
・・・とは言いつつ、バイデン副大統領の印象は、なんとなく「上から目線」で軍や軍人には冷淡、中国との関係も怪しいし、高学歴な奥様もイラク女性と「足を組んで」対談の前科等々、あまり良くありません。
秋の来日時の振る舞いも含め、しっかり確認したいと思います
岡崎研究所の第2期オバマ政権分析
アジア軽視は、ケリー国務長官の個人的問題というより、オバマ政権自体の問題
「対中国包囲網形成戦略を継続する意思は無く、方向を見失っている
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01
「バイデン訪中と米中密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「イラクで副大統領夫人の足組」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-14
辰巳由紀さん分析シリーズ
「強制削減DCの雰囲気は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09
「強制削減を再整理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28

タイトルとURLをコピーしました