ギャンブルはしない。慎重にゆっくりと計画に沿って
6日、米空軍で2014QDRを担当するSteven Kwast少将がCSISで講演し、強制削減対処構想のSCMR結果を受け、2014QDR策定作業に取り組む姿勢について語りました。
「創造的で革新的でなければならない」や「全ての選択肢が検討遡上にある」との表現で始まった講演ですが、冒頭の言葉が示すように慎重に進めなければならない任務であることもタップリ強調しています。
以前Kwast少将の話をご紹介した際は、「空軍という組織が存在しなくなる可能性も否定しない」とのビックリ発言もあったのですが、SCMR検討を通じて着地点のオプションが見えてきたのかもしれません。
細部具体的な中身への言及はありませんが、国家指導層レベルからの指示待ちの部分もあるようです。とりあえず途中経過と言うことで、Defense-News記事をご紹介。
「空軍QDR担当将軍の決意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-23
Kwast少将はCSISでの講演で・・・
●SCMR検討が最終的に何とか終了し、空軍のQDRチームは、国防省指導部からのQDR本格策定開始の合図と方向性や時程の指示を待っている。
●人々が待ち望んでいたような内容がSCMRに含まれていなかったとの意見はあるが、SCMRは我々が任務を遂行する「世界」のイメージを提示し、QDR策定を助けてくれるモノである
●QDR策定に関する具体的指示(terms of reference)は何時出されても不思議ではないが、時期は未定である。準備は出来ているので、SCMRを基に次のQDRに進むだけだ
●私の拙い見方だが、我々には創造的で革新的であるための余裕が十分にあり、国防に従事する人間としてそうなければならない。常に自身に疑問を投げかけ、前提を疑って創造的であろうとしてきたのだ。
●米空軍は70年以上それでうまくやってきた。これからもそうしたいと思う。同じ結果を生むのに、より安価に、より早く、より効果的に出来ないかを、常に問いかけながら。
●全ての選択肢が卓上にある。しかし同時にバランス感覚が重要である。極端でドラスティックな変化は、仕事や任務に慎重な世界では取り得なかった。
●IBMや一般社会の組織では(極端な変化も)時には機能するかもしれない。ヒーローになるか全てを失うかの2者択一があるのかもしれない。しかし我々の仕事では、向こう見ずになったり、ギャンブルを仕掛けることは望まれない。
●この姿勢は非難を呼ぶかもしれない。革新が不十分で将来を見ていないと指摘されるかもしれない。しかし我々は慎重にゆっくりと計画的であるべきだ。
●無人機を主に優先して導入せよとの意見には反対する。現状の技術水準を確認し、映画のような想像だけで語るべきではない。現実の技術と科学レベルを直視し、何が可能で、どの段階にあるのかを見極めてから進む姿勢が重要である。この仕事は「all or nothing」では割り切れない。バランスが重要だ。
●大統領の指示がない限り、F-35計画をキャンセルすることはない。F-35は洗練された我々の構想の中に組み込まれており、敵より優位な位置を占めるために重要な役割を果たす。
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実務担当者を責めても可哀想なのですが、なんとも捕らえどころがない講演となっています。
「創造的で革新的で、全てが検討対象だが、極端でドラスティックな変化はありそうもない・・・」 禅問答のようなやりとりです。
最後のF-35に関する部分は質問に対する回答でしょうが、勿論ですがキッパリです。
空軍士官学校卒業後、直ちにハーバード大学院ケネディースクール入学のF-15Eパイロットで、米空軍士官の「王道」を歩む推定50歳です。
ここまで来たら、組織と心中覚悟で最後まで突っ走る覚悟がないと、この時期のQDR担当将軍などやっていられません。多分!
ヘーゲル長官によるSCMR結果発表会見
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01