12日、米空軍の戦略計画部長Moeller中将(A-8)が空軍協会朝食会で講演し、厳しい財政下における10年後の空軍像を見据え、事業の優先順位を決定して各年度の予算編成に臨むと語りました。
具体的な将軍達による優先事項絞り込みの手法や作業日程等にも言及がありましたので、T-38後継機に関するちょこっと言及も含めご紹介します。 13日付AF-Magazine記事より
B-1やB-52操縦者のMoeller部長は・・・
●米空軍は、10年後の2023年に必要な姿を見定め、そこから逆算して今後数年間の予算編成を考える「従来とは根本的に異なる」手法に着手する
●今後5年間を考えると、少なくとも3年間は国家要求にこたえる「即応態勢の修復」に必要だろう。それらは2015年の予算5カ年計画に反映される
●ここでの「即応態勢の修復」とは、強制削減で生じるエンジンや機体の整備遅延のカバーだけでなく、過去10年間十分出来なかったハイエンド紛争の訓練も含まれる
28の戦略的質問
●4月に4つ星将軍(大将)が一堂に会し、今後10年間の米空軍の方向性に関わる「重大決断事項」を議論する。その場に「実行可能な戦略」を提示することが私の仕事である
●大将会議に先立ち、指揮官や副指揮官クラスの中将に「28個の戦略的質問」を投げかけ、戦力組成のバランス、即応態勢、近代化施策等々の視点から論点を整理し、大将会議でコンセンサスが得られるような準備をしたい
●4月の大将会議(Corona leadership summit)後は、戦略計画に反映できるよう具体的作業に入り、「2015 program objective memorandum」策定の基礎とする。
●8月に戦略計画の最終版を完成させる。我々がより小規模になることは確実である。
T-38の後継機「T-X」について
●(朝食会後に記者団の質問に答え、)もしT-Xが軽攻撃機のような役割を果たせる能力も持ち、パートナー国の能力向上にも貢献し、空軍の前方プレゼンスを支えるものとなり、私の立場からは意義あることである
●新たな装備を購入する場合、もはや単一機能の装備が購入可能な時代ではないことは皆が認めるところだろう
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一般的に、軍事組織の将軍が一堂に会して議論した場合、相互に痛み分け・従来路線踏襲・総花的な「まるい」結論が導き出されるのですが、強制削減突入で「big thing decisions」が成されるのでしょうか?・・・注目したいと思います。
空自のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、津波被害から復旧しつつある宮城県の松島基地に戻ってくるようです。
自衛隊は、誰も批判できない「震災復興イベント」として、小野寺大臣の選挙区へのアピールとして、更に「航空機素晴らしいイメージ」の発信に活用するのでしょう。
有人航空機が今後の戦いの中でどのような役割を果たすのかも熟慮せず、「パブロフの犬」的に戦闘機を筆頭とした有人航空機に血税を垂れ流しする「罪」を感じること無しに・・・
それから・・米空軍が同じアクロバットチームの「サンダーバード」の演技飛行を、予算削減で中止していることも忘れないで下さいね!
「強制削減でサンダーバード飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-05