中国軍UAVは米空母攻撃のための位置特定を重視
ステルスで拒否空域でも生き残りを追求
敵の衛星、早期警戒機やレーダー妨害機能を装備
おとりUAVで射耗させ、妨害UAVで麻痺、攻撃UAVでとどめ
11日、米シンクタンク「Project 2049」が「中国軍のUAVプロジェクト:組織能力と運用能力」との29ページのレポートを発表しました。
単に保有UAVや将来開発計画の紹介ではなく、開発計画や運用関連の組織や人物レベルから中国軍UAVを探求し、UAV関連の政策や作戦構想を明らかにしようとしています
Defense-Newsで概要を見た印象は、中国軍はUAVの特性と将来の戦場環境を的確に把握し、西側に有りがちな戦闘機や有人機偏重から脱した見事な構想を立てており、もし実現されれば「世界のお手本」(大きな脅威)になり得る内容です。
11日付 Defense-News記事は同レポートを
●レポートは、UAV設計、開発、生産に当たる中国軍組織と軍需産業組織を分析し、運用の現状と将来発展の方向性を吟味している
●中国軍は2011年半ば現在で280機以上のUAVを保有し、その数は急激に増加している。確証はないが、総参謀部と第2砲兵が高高度長時間滞在のUAVを担当し、陸海空軍はより戦術的なUAVに注目している
●特に、中国沿岸から3000km以内での精密誘導兵器攻撃を可能にする重要な要素としてUAVに注目している。そしてその狙いは米空母の弾道又は巡航ミサイルでの攻撃であり、特定の第2砲兵が、目標ターゲティング用UAVを保有している
●また、UAVのレーダー反射を低減し、対空脅威が厳しい環境下での運用にも力点を置いている
●電子戦用のUAV開発も進んでおり、敵の衛星、早期警戒機やレーダーを妨害する機能を備えたUAV設計が行われている。攻撃用UAVとの同時投入も念頭にある模様
短期及び長期的目標
●短期的には、中国軍UAVは陸海で係争中の領土監視での役割を期待されている。中国はUAVによる情報収集で、証拠収集能力で相手国より優位に立とうとしている
●より長期的には、中国軍の西太平洋における偵察・攻撃能力を拡大することにUAVを活用するであろう。ISR無人機と偵察衛星と情報収集艦を組み合わせ、より遠方で敵艦艇を捕捉し追尾できるだろう。
UAVを使用した究極の作戦構想
●上記様なネットワーク化されたISRは米海軍にとって大きな懸念である。中国軍の作戦計画者たちは、多数で多機能のUAVで紛争時米空母を攻撃しようと考えている
●まず最初に航空攻撃を模擬したおとりUAV攻撃を行い、敵の防空ミサイルを射耗させる。次に一群の電子戦UAV(敵の衛星、早期警戒機、レーダーを妨害)やレーダー攻撃UAVを投入する
●同時または後続として、攻撃UAVが対艦ミサイルや巡航ミサイル発射母機となって攻撃する。究極の目標は、UAV活動とミサイル攻撃を緊密に連動させ、敵の強固な防衛線を突破し、敵を飽和させる攻撃である
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この米シンクタンクのレポート通りのUAV構想が存在するなら、それはそれは素晴らしく立派な構想です。繰り返しになりますが、有人機や戦闘機にしがらみがある西側軍と異なり、自由な発想でUAVの特徴を最大限に発揮する構想となっています
そして仮に中国軍がこの構想を実現するなら、それは恐ろしい敵の出現を意味します。
米国の後を追随しつつも、無人機導入に理由なき抵抗を続ける亡国空軍は、本レポートを熟読して猛省すべきでしょう。
Project 2049のレポート原文は
→http://project2049.net/documents/uav_easton_hsiao.pdf
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