米空軍2トップが年頭会見

DonleyWelsh.jpg11日、米空軍の2トップ(ドンリー空軍長官とウェルシュ参謀総長)がそろって、年頭の記者会見を行いました。
米国防省webサイトは、日本のメディアが報じた以下のようなやり取り等は報じていませんが・・・
●ドンリー米空軍長官は11日の会見で、「オスプレイを沖縄などの日本国内に配備する計画はあるか」との質問に対し、「ある」と答えた
●ただし、米国防省は長官の会見後「アジア太平洋地域への配備は数年先だ。基地使用について決定していない」との声明を出し、長官の発言を訂正した
●一方、訪米中の沖縄県の又吉進知事公室長に対し、ジョンストン北東アジア部長は「日本を含むアジアに配備する計画を進めているが、場所は特定していない」と述べた模様。又吉氏が語った。
沖縄県の米空軍嘉手納基地への配備が有力とみられている。
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この時期の会見は、昨年を振り返りつつ、2013年度予算を踏まえた今年の展望等について語るのが恒例となっています。
上記のオスプレイ発言を除き、中身に新味はありませんが、その語り口や取り上げたテーマが空軍の現状を映し出していて興味を引きましたのでご紹介します
まずドンリー空軍長官は・・・
DonleyP.jpg●他の軍種等と同様に、空軍もダイナミックな安保環境と記事しい財政状況に対応し、政府指導層と共に既存の計画や予定を適正に修正する
●状況に適応し、妥協もすることになる。しかし我々は議会との間で空虚な軍にはしないとの共通認識を持たなければならない。これが第一優先である
●空虚な空軍を避けるため、そして質の高い即応体制の軍を維持するため、我々は規模を縮小しなければならない。そしてその質を向上させていかなければならない
●強制削減を巡る情勢が不透明なので、数日以内に当面の予算執行の指針を示す予定である。新たな文民の採用を抑え、優先度の低い飛行や訓練を削り、施設の維持や改修を延期する等の策を取る予定である。
第3及び第4四半期に影響が集中することを避けるため、今から出来ることを開始する。しかし予算の無差別削減の影響は、これだけでは到底カバーできないことは明らかである
●政府は、兵士を混乱させている「予算を巡る曲技体操:budget gymnastics」を早く収束させるべきだ
性的襲撃防止を強化している。最近実施した査察結果も活用して被害者相談プログラムも空軍全体で立ち上げた。
衛星打ち上げの効率化を目指したEELV計画の下で、昨年は9回の打ち上げに成功し、これでEELVで55回連続成功である。国家安全保障関連の打ち上げ全体では、90回の連続成功である。
WelshSen.jpg打ち上げ事業への新規参入が容易になるよう、また国家安全保障関連の宇宙行動が健強性を増すようにロケット調達戦略を策定しており、2015年からスタートする。初めて新規参入企業に安保分野への参入手順を示すことになる
●また空軍の調達改革により、衛星の調達コストが低下し続けている。例えば妨害に強く残存性や秘匿通信能力が高いAEHF衛星計画では、800億円以上の経費節減を成功させている。弾道ミサイル警報用のSBISでも400億円以上の節約を可能にした
F-22操縦者の低酸素症のような問題に関し、空軍として最善を尽くし、同機の最大能力発揮に向けた道筋をつけた
F-35計画は引き続き成熟に向けて前進しており、操縦者と整備員教育をエグリン基地で開始可能かどうかを評価するOUE(operational utility evaluation)を今月開始する
ウェルシュ参謀総長は・・・
●2013年度予算により、米空軍の正規兵士数は329000名となり、1947年に米空軍が誕生した当時の規模に縮小する。米空軍は過去10年間で1900機の航空機を退役させ、3万人を削減した。
2013AF-Vision.jpg●この数字自体がは悪いと評価すべきものではない。単に今日の財政状況と戦略環境を反映したものである
将来の空軍は、どのようにデータや情報を融合して迅速に分配し、センサーとプラットフォームを結びつけるかに掛かっている
この課題には新兵器開発ほど資金は必要なく、今現在の我々の仕事に役立つ。そこで我々は米空軍を上げてこの問題に焦点を当てて取り組んでいる。
ちなみに・・11日、ウェルシュ参謀総長は「Powered by Airmen, Fueled by Innovation」との副題が付いた2013年の米空軍Visionを発表しました
→http://www.af.mil/news/story.asp?id=123332136
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米軍予算の約2割を宇宙関連が占めており、この分野の削減策が大きな課題になっているようで、種々のメディアが宇宙政策を論じています。
複数の打ち上げ一括契約による単価の低減と支出の標準化、同盟国や民間との衛星機能共同搭載による経費削減と抑止力強化、高価でリスクの大きい高性能多機能衛星から単機能衛星へ、数を増やせ等々がよく議論されています。
osprey v-22.jpgしかしここでも「sexual assault」が一番の話題です。大丈夫でしょうかこの組織は・・・。F-35も良い側面だけ紹介のようで・・。
無論、強制削減(sequestration)の議論が収束しないと具体的な話が進められない側面もありましょうが・・・。
「将来の空軍は、どのようにデータや情報を融合して迅速に分配し、センサーとプラットフォームを結びつけるかに掛かっている」 がんばって頂きましょう
宇宙と「亡国のF-35」については・・・
宇宙→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1
F-35→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1

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