18日、カーター副長官が新しい米国防省の宇宙政策に署名した模様です。本文が公開されているのか良く分かりませんが、担当の次官補代理がその概要を米国防省webサイトで語っています。
この最新(updated)の宇宙政策は、2010年にオバマ大統領が発表した宇宙政策、2011年の「NSSS: National Security Space Strategy」、更に2012年の新たな国防戦略(DOD Strategic Guidance)を反映したものと説明されています。
カーター副長官は発表ステートメントで、「益々厳しさを増す財政状況の中で、複雑さを増す宇宙関連のチャンスや課題に対処するもの」と同政策を説明しています
新宇宙政策のポイントは・・・
(Dr. John F. Plumb次官補代理が語ります)
●我々や同盟国の宇宙システムへの攻撃抑止
—このため、宇宙での責任ある行動を促進する国際的な宇宙規範の制定を支援し、コアリションを形成し、米宇宙アセットの強靭性を高め、全ての国力を動員して米国および同盟国の宇宙システムへの攻撃に対処する
—わが宇宙システムへの妨害等は、米国の主権の侵害であり、平時においては無責任な、そして危機発生時には状況のエスカレーションにつながるものと見なす事を宣言する。本政策はこの点を明確に記載し、人々がこれを理解することを求める
●宇宙ごみ(space debris)問題を国際規範に
—今日約60カ国が宇宙で活動しているが、NASAの宇宙ごみ室によると10cm以上のごみが21000個、それより小型が50万個、1cm以下のものを含めると100万個ものごみが漂っている
—このごみを削減する国際規範が必要である。国際協力、企業との協力関係強化、国防省内の取り組みも必要になる
●経費削減も一つの目標
—米国企業に外国企業との公平な競争の機会を与える取り組みを始めた。現状では、一般市場で手に入るものまで、安全保障上の理由とかで米国企業の輸出や販売を禁じている。
—例えば4月には、リモートセンシング衛星を兵器リストから除外して販売できるよう議会に促している。
●国際協力の推進
—宇宙空間でコアリションを組んでアセットを活用することにより、敵が同じ一つの宇宙アセットを攻撃しても、米国だけでなくコアリション国全てを攻撃することとなる。抑止にもつながる
—先週パネッタ長官が豪州を訪問した際、Cバンドレーダーと宇宙望遠鏡の豪州への移設を協議した。ともに宇宙の監視やごみの追跡を飛躍的に向上させる機材である
●宇宙アセットの強靭性(resilience)向上
—相手からの攻撃に耐える能力を意味する。一つには、一つの衛星に多くの機能を詰め込むのではなく、機能を戦略的に多くの衛星に分散しすることである
—二つには敵の宇宙アセット攻撃能力を減殺するすることである。これによりわが能力の低下を最小限に抑えることを狙う
国家対象と非国家対象の両方が、直接的対衛星兵器、地上レーザー兵器、電波等ジャミング兵器を開発しており、我の宇宙能力の破壊や妨害を狙っている。
我々はこれらに備え、我々の宇宙活動が妨げられないよう強靭性を増すために前進しなければならない。本宇宙政策はその指針を示すものである。
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先日ご紹介した米空軍宇宙コマンド司令官の発言も同じ方向性でした。
今日のweb記事だけでは「舌足らず」だと思うので、以下の過去記事で補ってください
「宇宙コマンド司令官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-18
「米豪が宇宙分野で合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15
「前半宇宙優勢5つの鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-10
「後半宇宙優勢5つの鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-10-1
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02