10日付「Defense News」が、米海軍と海兵隊が「10年の空白」を経て、A2AD環境下での本格的着上陸や遠征作戦に取り組んでいる様子を紹介しています。
対テロや対ゲリラ作戦に明け暮れた過去10年から、骨のある敵を想定した演習が昨年あたりから開始されています。
色々な実動演習や机上演習を通じて問題点を洗い出している段階ですが、長距離対艦ミサイル等脅威の質が大きく変化する中で、何が不足し何が問題なのかを追求する取り組みが進んでいるようです。
机上演習「Expeditionary Warrior」
●本年3月、ワシントンDCのホテルで行われた200人余りが参加の演習。演習後10か月間をかけ、各種反省会や検討会、将来計画への反映事項の抽出が行われた
●海軍と海兵隊を中心に5軍種すべてと、国防長官室、統合参謀本部、中央軍、特殊作戦軍、14カ国の関係国が参加
●2024年時点を想定し、架空の西アフリカ地域を作戦地域として演習が行われた
●海軍と海兵隊が慣れている2500人規模のEMUサイズではなく、より本格的な対処を想定したMarine expeditionary brigade (MEB:約1万人)での活動を訓練した
●A2AD環境下での多くの問題や不測事項が明らかになったが、中でも指揮統制の課題が浮き彫りになった。
●より厳しい脅威下で、広大な地域に分散して活動する大規模部隊を、空母や着上陸部隊を含めて有機的に活動させるのは難しい。海軍、海兵隊、特殊部隊間の相互運用性の課題も明確になった
●演習プレーヤーは、A2AD戦略対処のために検討中の各種コンセプト、例えば「Air-Sea Battle」や「Joint Operational Access Concept」のほか、海兵隊が検討しているアイディア等も机上演習の中で試したようである
●机上演習でMEB指揮官の海兵隊ミルズ中将は、「将来我々が直面する軍事作戦は、最近の自然災害や人道支援任務に比し、遥かに大規模となる。大規模上陸部隊と空母を組み合わせるような作戦である」、「大規模な作戦を検証し、何が問題かを把握して前進することが必要である」と語っている
演習「Bold Alligator」
●本年2月、10年以上ぶりに本格的着上陸を含む実動の大規模演習を大西洋沿岸を中心に行った。艦艇に乗船した経験がない海兵隊員数千人を含む海兵部隊に、現装備での着上陸作戦を思い出させる演習だった。
●隔年で実施する実動演習は、今後拡大することになっている。ここでの教訓は机上演習「Expeditionary Warrior」にも反映された。
実動演習「Dawn Blitz」と「RIMPAC」
●2013年6月には、上記演習の教訓を踏まえた実動演習「Dawn Blitz」が南カリフォルニアで計画されている
●更に2014年の「RIMPAC:環太平洋合同演習」にはMEBが参加することになっている。
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各種演習の脅威認識や状況設定が不明ですが、A2AD対処を明確にしていることから、単に「硫黄島すり鉢山に立てた星条旗をもう一度」や「仁川上陸作戦の栄光をもう一度」を追求する懐古主義演習ではないのでしょう・・・
Resiliency(強靭さ、抗たん性)との言葉を全く無視し、戦闘機にのみ投資し、戦闘機の体制を守るために作戦を考える、又は地上部隊の体制を守るために財務省説明用の作戦を考えるようでは組織が腐敗しますよ・・・。
「空母、戦闘機、着上陸に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「海兵隊は生き残れるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1
「海兵隊へ再び最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16
「海軍海兵隊とも全面対決へ」 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
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