南アフリカの迫力満点の女性国防大臣(Nosiviwe Mapisa-Nqakula)がペンタゴンを12日に訪問し、パネッタ長官と昼食会まで行う歓待を受けていますので、これを契機に南アフリカについて勉強したいと思います。
国防相同士の協議内容は全く報道されていませんが、第3局として発言力を増す「アフリカの雄」南アとの軍事的関係強化を目指した歓迎ぶりと写真から想像します。
しかしこの女性大臣、見た目の迫力だけでなく、激動の南アを女性組織のリーダとして乗り切ってきた闘士でもあります。
もとは教師として南アの問題を痛感、社会問題や女性問題を扱う団体のリーダーとして頭角を現し、一方で1984年からはアンゴラとソ連で軍事訓練を受け、開発計画にも携わった経歴を持っています
与党であるANCの女性リーダーを長く勤め、アフリカの国際機関で主要ポストも務めたアフリカを代表する女性政治家の一人です。閣僚としては治安問題担当を5年、格差問題担当を3年勤め、本年6月から国防大臣を務めています
国防問題に関しては、2004年から議会の情報および国防委員会の主要メンバーであり、決して素人ではありません。
米国がランチをセットして南アに何を持ちかけたのか気になるところですが、それは情報が公開されたらにして、本日は外務省のwebサイトで南アの概要を勉強いたします。
国の概要
●人口5千万、面積日本の3倍、黒人比率8割、キリスト教8割
●軍事力(陸軍3.7万、海軍6千、空軍1万) 航空機グリペンをはじめ約230機、艦艇約50隻
政 治
●1994年4月にアパルトヘイト政策が全廃され、議会選挙では、これを推進したアフリカ民族会議(ANC)が62%の得票率で勝利し、マンデラ議長が大統領に選出された。
●その後の選挙でもANCは約7割の得票率で与党を維持し、マンデラの後継者としてムベキ大統領が選出された。そのANC内の対立でムベキは辞任、2009年6月からはズマ大統領が就任し、国内貧困対策等に取り組む優先施策を打ち出している
外 交
●マンデラ政権誕生後、同年中にアフリカ統一機構(OAU)及び南部アフリカ開発共同体(SADC)への加盟、英連邦への再加盟を果した他、国連総会の議席を20年振りに回復
●アフリカ諸国で唯一のG20メンバ-国(2000年沖縄サミット以降)でもあり、近年、国連改革、核軍縮・不拡散、気候変動等のグローバル・イシューに関して発言力を強めている
●アフリカ諸国との協力促進に重点を置く他、IBSA(インド・ブラジル・南ア)の枠組みによる新興国間の連携強化を軸とした南南協力推進を重視。また、2011年4月にはBRICSにも加盟
経 済
●南ア経済は、19世紀後半にダイヤ、金が発見されて以降、鉱業主導で成長し、蓄積された資本を原資に製造業及び金融業が発展した。
●近年では主力であった鉱業(1990年の対GDP比9.7%)の比率が減少を続けている一方、金融・保険(1990年の対GDP比は14.5%)の割合が拡大。2006年のGDP部門別内訳は、農業2.7%、鉱工業30.9%、サービス業66.4%であり、先進国同様、南ア経済は第三次産業の割合が高くなっている
●貿易構造は、鉱物資源輸出への依存が依然として高い。なお、輸入は先進国からの機械類の比率が高い。
●アパルトヘイト廃止直後の時期、内需の縮小と世界経済の低迷の影響から南ア経済は停滞。その後も高金利とランド高に苦しみ、成長率は鈍化傾向
●しかし、景気の低迷は、2003年第2四半期で底を打ち、その後金融政策の大幅な緩和もあり、内需が回復し、2007年の経済成長率は、5.1%となっている
●他方、失業は依然として大きな社会問題となっており、1997年の21%以降、20%を越える高い水準で推移
●特に黒人の貧富差の解消は教育機会の不均衡もあり遅れ、失業は増大し、特権を得た一部の黒人による逆差別現象も生じ犯罪は増加した。このことが先進諸国からの投資や、企業進出を妨げる要因となっている。
●さらに、南アの死亡原因の一位で増加するエイズ蔓延の結果、エイズ感染者への差別も蔓延している。政府の対策が不十分だったことが大きな原因とされており、ANC政権への不満も高まっている
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混乱の中で発展しているようです。
しかし、「処女と性行為することでエイズが治る」という迷信が広く信じられている・・・との某webサイトの記述があり、真偽の程は不明ながら部族社会の言い伝えや掟が支配する部分が残る社会なのかもしれません。
中国による怒涛のアフリカ進出と摩擦増加の中、クリントン国務長官が7月31日から8月10日の11日間もアフリカ訪問したようです。訪問国は、セネガル、南スーダン、ウガンダ、ケニア、マラウィ、南アフリカです。
同長官は米国の対アフリカ姿勢を、中国に釘をさすように・・・
●「搾取することではなく、付加価値を与えることである」
●「米国は、民主主義と普遍的人権を擁護する。たとえ、それらを無視して資源開発を続けた方がより効率的に思えても、米国は民主主義と人権を守る。全ての国がこの行動方針を採っているわけではないが、米国はそうする」
本年6月には、秋篠宮同妃両殿下が、日本の皇室として初めてウガンダをご訪問されたようです。
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