30日付「Defense Tech」が、2018年から開始予定の米空軍F-16の能力向上(延命措置:対象約300機)計画について報じています。
F-35計画の遅延を見越したものですが、世界25カ国が使用中のF-16に関する大規模事業であり、軍需産業界は世界への波及を見据え、世界市場を狙って「期待に胸膨らむ」状態にあるようです。
米空軍のF-16計画責任者(大佐)は・・・
●計画は大きく2つの部分からなり、一つは「service life extension program(SLEP)」で、もう一つは「combat avionics programmed extension suite (CAPES)」である。
●対象となるF-16はBlock 40, 42, 50 and 52 F-16C/Dsの300機に及ぶ計画であり、新型レーダーや先進ソフトを搭載する
●具体的には、AESA radarや新型のTerma ALQ-213電子妨害システム、integrated broadcast system (IBS)や表示ディスプレイを搭載する予定
●F-16の現在の限界飛行時間は約6000時間であるが、この改修(SLEP)により2~4000時間の延命が可能になる模様
「Defense Tech」はコメントで
●米空軍のF-16改修事業は、ロッキードマーチンが単独で受注する模様だが、他の軍需産業は他のF-16保有国も延命策を取るだろうと見込んでいる。
●BAE社の副社長は「今後F-16の改修事業は巨大なマーケットになるだろう。世界25カ国がF-16を使用しており、他国ユーザーへの改修提案についてはロッキード社も競争に直面するだろう」と語っている。
●一方で米国内では、F-35開発に先の見えない膨大な資金をつぎ込むより、F-16の延命や能力向上に投資した方がより賢明であるとの米空軍少佐(Maj. Joe “Buzz”Walter)の提案書が議会や国防省内に出回っている。
●同提案書には、F-35への投資の一部をF-16能力向上・延命に回せば、より多くの作戦機を米空軍は維持できる等の分析が含まれている
//////////////////////////////////////////////////
限られた資源をどのように配分するか? 「質は量では補えない」に逆らうことは難しいでしょうが、悪化する財政状況や脅威の変化の中で、単純に質ばかりを追求することが可能か? それが総合的な抑止力や戦闘力の向上につながるのか? の真剣な議論が必要になっていると思います
Walte少佐のレポートがどのような性質のものか不明ですが、このような意見が議論の対象となることが健全な組織活動ではないでしょうか?
「米は台湾に最新F-16売却するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-23
「台湾空軍の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-14