24日、シンクタンクCSBAのTodd Harrison研究員が「Analysis of the FY2013 Defense Budget and Sequestration」とのレポートを発表し、国防予算の強制削減(sequestration)が実施された場合の2013年度予算への影響について試算を発表しました。
無論、どの予算科目をどの程度削減するかは国防省と議会間で「すったもんだ」して決まるのでしょうが、Air-Sea Battleの報告書でも国防省との関係の深さを印象付けたCSBAですから、現在の種々検討状況についてそれなりの情報を得て作成されたレポートである可能性があります
27日付「Defense News」は・・・
●国防省は強制削減が発動された場合、来年1月2日以降2013年度内に約11万人の文民職員を解雇する必要が出てくる。2013年度削減数を減らして先送りすれば、後年の総削減数が増加することになる。
●一方で、外部契約業者(contractors:軍需産業も含むと想像)については、より段階的に削減されることになるだろう。しかし強制削減開始後3年も経過すれば、削減総数は大きなものになっているだろう
●この背景には、例えば、単年度で支出される比率が2/3と高い運営・作戦経費や整備費用にかかわる企業への削減影響はすぐに表面化するが、一方で単年度支出比率が2割の調達経費や約5割の研究開発評価経費に関係する軍需産業等は、若干ながら対応時間余裕時間を得ることができる
●金額ベースでみると、今後10年間で約$500 billionの更なる削減を要求する強制削減であるが、2013年度予算からは$56.5 billion(10.3%)の削減を求められることになる。
●レポートに示された2013年度予算削減を科目別削減比率で見てみると、運用・整備費が6.9%、調達費が3.5%、家族住居費用が6.9%削減されることになっている。なお大統領は現役兵士への給付については削減しないと除外を認めています
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上記では、27日付AF-Magazineのdaily-reportの内容も含めて記述しています。
両方の記事とも、軍需産業や外部契約業者への影響は急激ではなく段階的に発生する点を強調して同レポートを紹介しています。
雇用問題は大統領選挙の大きな争点でもあり、初めて具体的に強制削減の雇用への影響を約11万人と見積もった点に大きな意義があるのでしょう。
今後も、軍需産業界のレイオフ数や予備役や州軍を含む軍人削減見積もり数も報道を賑わすことになるのでしょう。
CSBAの当該webページはこちら
→http://www.csbaonline.org/publications/2012/08/analysis-of-the-fy2013-defense-budget-and-sequestration/
「基本を解説:強制削減とは?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28
「強制削減の影響を企業に質問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-10-1
「強制削減の影響を報告せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27
「強制削減回避へレビンが動く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14
「敵に財政負担を強いる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03
「強制削減検討は夏から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01