シリア化学兵器に巨大貫通弾??

貫通弾に関しては「東スポ」的タイトルですが・・
Donley.jpg25日、ドンリー空軍長官は「Capitol Hill Club」での講演後の質疑応答で、イランの地下核施設やならず者国家の大量破壊兵器攻撃用に開発されていると噂の巨大貫通弾MOP(Massive Ordnance Penetrator)の開発状況について質問され、「必要なら使用可能」と返答しました。
このやり取りを受け25日付「Defense News」はシリアとMOPを結びつけるような記事を掲載しました。
また同講演で、予算の強制削減(Sequestration)が来年1月2日に発動された場合の空軍予算への影響について、初めて分野別削減額について言及しました。数字だけで具体的影響は不明ですが、内部で検討が進んでいる様子が窺えます
MOP-B2-2.jpg巨大貫通弾MOPの質問が出た背景には、24日にリトル報道官が定例会見でのシリア情勢に関するやり取りの中で、シリア国家体制が崩壊しつつあり全面的な内戦状態に入りつつあり、国防省が懸念しているとの話になり、その流れで以下のような発言をしたことが伏線があります。
●シリア政府はその保有する化学兵器を保護しなければならない
明確なのは、他の米国政府関係者も同様に、化学兵器が安全に確保保護されない状態に陥ることは受け入れがたいと言う点である
このような状況下で25日空軍長官は
●(MOPは使用可能かとの質問に対し、)仮に今日必要となれば、使用可能である。
●我々はその能力を洗練するためテストを続けているが、現状の形態であればその能力は発揮できる
・・・と言うことで、私も「東スポ」並みの意味深なタイトルを掲げたわけです。お騒がせしました・・・。
同日、強制削減に関し(26日付)・・・
Donley2.jpg●議会で何ら危機的状況への対応が取られなかった場合の予算ダウン額は、運用・整備関連で$6 billion、調達関連で$4.5 billion、研究開発関連で$3.4 billionに及ぶ
●この数字は、人件費は強制削減から除外されるだろうとの前提のモノである。仮に人件費も含むのであれば、予算削減幅は10%から13%に拡大する。その影響は全てにおよび、全て事業が縮小、再構築、または終了を迫られるだろう
(注:報道内容が限定的で、削減額が年度予算の削減なのか、別な意味があるのか不明です)
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強制削減については、影響に関し、具体的言及が全くなかった(言及を避けてきた)国防省側ですが、ここに来て影響を前面に打ち出す作戦に変更したのかも知れません。今後も注目です。
シリアをMOPと絡めた話が出る辺りは事態の深刻さを感じさせます。核兵器ほどの破壊力がないMOPに、化学兵器無効化の能力があるとは思えませんが・・・。
MOPについては、過去記事でご紹介
「イ核施設の完全破壊困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02
イラン核施設攻撃はまず、無人機RQ-170による電子戦攻撃とサイバー攻撃により、イランの防空組織と指揮統制組織を攪乱又は機能停止させる
●その後、F-22に援護されたB-2爆撃機が、30層に及ぶ強化コンクリートも貫通可能な3万ポンド巨大貫通爆弾(MOP:GBU-57)を投下する。
しかし最近、イランの施設が想定よりも強固で、MOPでも破壊できるか難しいかもとの分析がなされ、本年2月に議会がMOPの改修予算を承認したばかりである
MOP.jpg●そこで空軍はMOPによる貫通施設破壊だけでなく、地下施設に通じるトンネルや通路に被害を与えて施設を生き埋めにし、少なくとも相当期間施設の使用を不可能に出来る
●攻撃がうまくいけば、核施設の入り口やトンネルへの攻撃で生じる爆風や高圧衝撃により、内部の核兵器開発施設や装備を破壊できるかも知れない。
●上記の様な攻撃には、当初はB-2に搭載可能な貫通弾である巨大なMOP(GBU-57:3万ポンド)やバンカーバスター(GBU-28:5千ポンド)が使用され、その後爆風やエリア破壊のためにGBU-43(MOAB:巨大気化爆弾:2.3万ポンド)投下するオプションがある。
●ただしGBU-43:MOABはC-130からのみ投下可能で、イランのA2AD突破に課題が残る
「対イラン?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1
「F-35用貫通弾開発は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-22-1

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