17日から、カーター国防副長官(Ashton B. Carter)が約10日間を掛けて就任後初のアジアツアーを行います。訪問先は、ハワイ、グアム、日本、タイ、インド、最後に韓国(26日)の予定です。
リトル報道官は訪問について
●副長官訪問の目的は、鍵となる同盟国やパートナー国と、米国のアジア太平洋軍事政策が実際面でどのように実施されるかについて細部にわたる議論を行うこと
●また、21世紀の繁栄と安全保障を確かなモノとするため、米国防省と地域の各国軍が「如何により緊密に」やっていくかについても議論する予定
この訪問は、実務面でパネッタ長官の訪問並みの意味があると思います。
既に17日付日経新聞が、「米国防省に自衛官が常駐勤務へ」との見出しでカーター副長官来日の狼煙を上げていますが、他にも何か飛び出すかも知れません。今週の注目です。
カーター副長官就任時、パネッタ長官は・・
●私は副長官に、私の「分身(alter ego)」であって欲しいと思う。分身とは、いつでも私の位置に立って国防省を動かせる人であり、基本的に国防省を管理監督し、運営できる人のことである。(2011年11月9日)
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「実力派の副長官誕生」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-11
実力派の副長官であることを諸資料からご紹介
●09年4月から11年10月の間、調達取得技術担当の国防次官としてゲーツ前長官の片腕として調達改革に辣腕を振るい、不明瞭かつ高コストが当たり前だった軍需産業にメスを入れたことから「国防調達のシーザー」との異名を持つ。
●クリントン政権時には、国際政策担当の国防次官補を務めた経験があり、国防省でのポストは国防副長官で3つ目。
●前任者のリン副長官はゲーツ前長官と役割分担を行い、副長官は軍需産業やサイバー宇宙政策を主担当にしていたが、カーター副長官はパネッタ国防長官から「国防省の日常業務全体を仕切ってくれ。長官には私の判断が必要なモノだけに絞って上げてきてくれ」と指示を受けている模様。
●全ての情報を副長官は掌握していると考えられ、カーター副長官の判断はパネッタ長官の判断に大きな影響力を持つと考えられる。諸外国はその対応に十分な配慮が必要
●国防省勤務以外ではハーバード大ケネディースクールの国際問題センター長、MITの教授、議会の技術評価室等々の勤務や、民間ではシンクタンクやマイター社、ゴールドマンサックスの顧問等も務めていた。
●現在も、外交問題評議会CFRのメンバーで米物理学会会員、科学と外交に関するシンクタンクの客員研究員も。
●エール大学出身で物理と歴史の学位。オックスフォード大から理論物理の博士号。妻と成人した子供2人
カーター氏:次官時代のお仕事ぶり
「副長官へ議会で証言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-14
「コスト超過は企業責任」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20
「調達制度改革は進展」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-2
「国防省コストカット発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「KC-X最終決定:泥沼回避」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25