その前に、本当に悲しく情けない知らせ
16日付読売等・・・「防衛省は29日までに米国とF-35契約の模様。1機価格は部品等含め約102億円。当初の約99億円より約3億円割高も、他の経費を削り総額は予算通り」
「他の経費を削り・・」とは、機体に付属している装備品の幾つかを諦め、性能を下げて購入すると言うこと。今後も価格上昇が避けられないであろうF-35。数年後にはレーダーやアビオニクス無しの機体を購入するつもりなのだろうか? 機種選定で比較した他機種よりも劣る性能になっても・・・
早くも、何のために購入するのかの原点を離れ、戦闘機の機数や飛行隊数を維持するだけが目的となりつつある観が・・・。 F-35と言う名の「暴走列車」はますます手がつけられなくなっています。
こんな事業に投入される人材が本当に不憫でなりません。本当の意志決定に当たった人達は、「機体が入ってくる頃は、オレは定年でノンビリしているし・・」と思っているのでしょうが。
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再度、米会計検査院がF-35計画に懸念
11日の週、米会計検査院(GAO)が再びF-35購入の将来計画に強い疑念と警告を発しています。
主要な指摘と要望事項
●将来の空軍予算や他の購入予定装備品を現実的に見据え、真摯にF-35価格の見通しを踏まえた調達計画を考慮すべきである
●現実的に予想される現在より少ない予算総額(3パターンを提示)のケースで、現在想定しているF-35購入経費(2035年まで継続的に毎年$13 billion)が、支出可能なのかどうかを良く吟味し、真剣に内部検討すべき
●空軍は当然理解しているだろうが、F-35以外にも緊急性の高い空中給油機KC-46Aや次期爆撃機への投資が存在することを見落としてはならない。
GAOが提示したF-35関連数値
●$373 million—–現在も進行中の開発段階で発生した不具合を修正するための「手戻り修正」の「設計」費用。開発完了を待たずに大量生産を開始したため、実際の修復にどれだけ必要かは不明
●365機—–機体開発と飛行試験が終了する以前に米軍が受け取る機体の数。つまり、開発途中で見つかった不具合の追加修正が発生する可能性の高い機体数
●$395.7 billion—–現時点でのF-35開発購入の総経費見積もり。ちなみに、2007年時点での見積もりは$278.5 billion、計画当初の2001年時点では$233 billionだった・・・。
●$35,200—–F-35飛行時間1時間当たりの経費。ちなみにF-16の同経費は$22,500。
●24 million—–開発の一つのネックになっているソフトウェアの行数。ちなみにF-22戦闘機の3倍、FA-18の6倍の行数。
●$80 million—–F-35操縦者用に開発されたヘルメットに不具合が続出したため必要になった改修費。改修が順調に進んでも2014年までは機体に完全には適応できない。
●6個—–2011年に予定していた試験11項目の内、終了した項目の数
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GAOによる「指摘と要望事項」は日本にも当てはまる懸念事項です。「F-35関連数値」には、今後日本でも大きな問題になる可能性の高い項目が並んでいます。
近年の脅威の変化を考えると、有人戦闘機では日本の抑止力や軍事的実力は高められないと思います。
戦闘機飛行隊数や戦闘機総数の呪縛から早く抜け出ないと、「Hollow Force:空虚な軍」(兵士や装備が数だけそろっているが、訓練や弾薬や性能に劣って使い物にならない軍のこと。パネッタ国防長官が好んで使う表現)への道まっしぐらです。
亡国のF-35関連
「米会計検査院のF-35評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-21
「カナダ会計検査院もF-35批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04
「豪は2年延期:F-35購入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-04
「米正式決定:F-35日本輸出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-03
「ノルウェーはF-35平準化で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24